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実はあなたは倫理的な人間ではない
次の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。
「マネジャーとして、倫理に基づいて行動していますか」
もし「はい」と答えたならば、不愉快な事実と向き合わなければならなくなるだろう。というのも、あなたが倫理に基づいて行動するマネジャーではないからだ。
自分のことを倫理的で偏見にとらわれていないと思っている人が大多数だろう。我々は、頭のなかでは、自分が優秀な意思決定者であり、求職者を客観的に評価し、また交渉を進める際にも会社への利益を最優先にしているつもりでいる。
しかし、20年以上にもわたる調査で実証されたところによれば、ほとんどの人が描いている自画像と実際とはひどくかけ離れている。
我々は、エール大学の心理学者、デイビッド・アーマーが主張するところの「客観性の錯覚」に惑わされている。つまり、他人の偏見はすぐに悟っても、自分自身はまったく偏見などと無縁であると勘違いしているのだ。
さらに、この無意識下の、あるいは潜在意識下の偏見は、我々の意識的で顕在化した信念とは逆の場合もありうる。求職者の肌の色は「採用を判断するうえで何の意味も持たない」、あるいは「利害の対立には無関係である」と、自信と信念をもって信じているかもしれない。
しかし心理学の調査では、決まって故意ではない無意識の偏見が存在することが証明されている。このような偏見の蔓延は何を意味するのか。それは、たとえどんなに善意にあふれている人でも、知らず知らずのうちに、無意識下の考えや感情が、一見客観的な意思決定に影響してしまっているということである。