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組織において、ますますデータが重視されていく中、人的資源管理においてもピープルアナリティクスの活用が進んでいる。さまざまな統計手法とインテリジェントテクノロジーを駆使して、従業員の行動を記録・分析することで、組織の効率性と生産性を高めることを目的としている。しかし一歩間違えれば、意図した効果とは逆の結果を招きかねないと、筆者らは指摘する。従業員が「単なるデータ」として扱われることで、まるで「取り換え可能なモノ」であるかのように感じたり、常に監視されていることからプライバシーがなく、安全性も感じられなくなったりするからだ。そうなれば、従業員の士気は低下し、非倫理的な行動に出ることさえある。本稿では、ピープルアナリティクスに内在するリスクを回避し、本来の役割を機能させるために、組織が留意すべき3つの戦略を論じる。
かつて、組織が人で構成されていた時代があった。だがいまでは、組織を構成するのはデータだ。
企業はデータマイニングを通して、新たな機会を見出し、予測精度を向上させ、より適切な意思決定を行う術を身につけてきた。その結果、企業の関心対象は、仕事に従事する人間から、勤務時間中に彼らが何をしたかに関するデータに移行した。たとえば、メールを何通送信したか、何人と話をしたか、何回休憩を取ったか、などである。
とりわけ、人的資源管理(HRM)、さらに最近ではピープルアナリティクス(PA)において、従業員データの活用が進んでいる。つまり、労働者が自身のデータによって定義される傾向がますます強まっているのだ。