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創業の初期に成功した会社は、優秀な従業員を集め、消費者の注目を集め、さらには資金調達も容易になる傾向がある。筆者らの研究によると、企業が初期段階で成功したとしても、持続的に高い業績を上げる能力を持っているという裏付けにはならない。初期の成功は、運に左右されている可能性があり、幸運が次の成功につながるというダイナミズムを疑うべきと説く。研究によって運がもたらすバイアスを把握すると同時に、競争に敗れた企業が不運であったとすれば、そのような企業への投資は割安であるとも言える。バイアスによる死角を認識することで、多くの人が見過ごしている「隠れた宝石」を見つけられるかもしれない。

競争の勝敗を決めるのは運である

 大きな成功を収めた人は何かを正しく行ったに違いない。したがって、それを周囲が簡単に学べたり、真似をしたりすることはできないとしても、世間の称賛と報酬を得るのは当然だと考える人が多い。たとえば、たまたま何かで最初に成功した会社は優秀な従業員を惹き付け、自社製品に対する消費者の注目を容易に集め、他社が夢見るような商機や資金にアクセスすることができる。

 我々の研究によると、最初に収めた成功では、高い業績を上げる能力を必ずしも正確に予測できない。最初の成功に続く成功は、その会社の優れた能力を示す証拠ではなく、消費者や投資家が最初の成功に反応した結果である可能性が高い。研究の末に我々が導き出した結論はこうだ。我々は皆、消費者であれ投資家であれメディアであれ、飛び抜けて優れた業績を目にした時には、成功が成功を生むというダイナミズムを疑うべきなのだ。たとえ直感に反する場合でも、である。よく言われるように、出来すぎた話はおそらく出来すぎで真実ではないのである。