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給与に関する情報を透明化する動きが、世界中の企業で見られる。男女間の賃金格差を縮め、信頼を築きながら意欲的で前向きな職場環境を醸成することが狙いだが、適切な環境を用意したうえで透明化を実施することが肝要だ。本稿では、給与の透明化に伴い発生するメリットとデメリットを提示し、メリットを享受するために企業が取り組むべき3つのポイントを解説する。

給与の透明化がもたらす影響

 給与の透明化を方針として掲げ、実践する動きが世界中の企業で見られる。男女間の賃金格差を縮め、信頼を築きながら意欲的で前向きな職場環境を醸成することが狙いだ。給与の透明化は、企業がそうした狙いを達成する助けになる一方で、意図しない結果ももたらしている。

 給与の透明化とは、企業が自主的に給与に関する情報を従業員に提供する給与コミュニケーション規程を表し、その内容は、給与の決め方(プロセスの透明化)や実際の給与体系(結果の透明化)、さらには従業員が自分の給与に関する情報を自由に公開できるオープンポリシー(コミュニケーションの透明化)などが含まれる。

 なぜ給与の透明化が重要なのだろうか。一つには、それが人材の確保と定着につながるからであり、就職希望者が給与に関する透明性の向上を求めているためだ。ペイスケールによれば、給与の計算方法が透明ではない場合、従業員(特に若い従業員)が半年以内に会社を辞める確率が高くなるという。

 また、透明性に関するコンプライアンス基準を満たさない企業には、法的な影響が及ぶ可能性もある。さらに、BBCグーグルがそうであったように、給与情報を秘密事項とする企業ほど、給与格差の暴露報道によって、評判に深刻なダメージを受けることもある。

 最後に、給与の透明化は、少なくとも短期的には、従業員と雇用主に重要なメリットをもたらすことが複数の研究で示されている。たとえば、従業員が企業に抱く信頼感や公平感、仕事への満足度にプラスの影響があり、個人のタスクパフォーマンスが向上する