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給与に関する情報を透明化する動きが、世界中の企業で見られる。男女間の賃金格差を縮め、信頼を築きながら意欲的で前向きな職場環境を醸成することが狙いだが、適切な環境を用意したうえで透明化を実施することが肝要だ。本稿では、給与の透明化に伴い発生するメリットとデメリットを提示し、メリットを享受するために企業が取り組むべき3つのポイントを解説する。

給与の透明化がもたらす影響

 給与の透明化を方針として掲げ、実践する動きが世界中の企業で見られる。男女間の賃金格差を縮め、信頼を築きながら意欲的で前向きな職場環境を醸成することが狙いだ。給与の透明化は、企業がそうした狙いを達成する助けになる一方で、意図しない結果ももたらしている。

 給与の透明化とは、企業が自主的に給与に関する情報を従業員に提供する給与コミュニケーション規程を表し、その内容は、給与の決め方(プロセスの透明化)や実際の給与体系(結果の透明化)、さらには従業員が自分の給与に関する情報を自由に公開できるオープンポリシー(コミュニケーションの透明化)などが含まれる。