製造小売業からIT小売業への転換
編集部(以下色文字):土屋さんはベイシアグループの一つであり、ホームセンター大手のカインズ社長を務めていた2018年、「IT小売業宣言」を出し、カインズのデジタル・トランスフォーメーション(DX)を先導されてきました。この宣言を出した時、どのような問題意識を持っていたのでしょうか。
土屋(以下略):カインズの現状に問題があるとは感じていましたが、その時点で具体策があったわけではありません。ただ、欧米の先進企業と比較した時、カインズが周回遅れになっているという強い危機感があり、自分たちは変わる必要があると意志を示すことが重要だと考えました。
2007年に「SPA宣言」を出して以降、カインズは仕入れた商品を販売する純粋な小売業ではなく、SPA(製造小売業)を展開してきました。そしてSPAへの転換が成功し、カインズの業績は順調に伸びていました。