●セルフコンパッションを実践する

 突然の失業後、自分自身のケアをしようとすると、恥ずかしさや罪悪感を覚える人もいるだろう。「こんなことになるなんて、自分は何をしたのだろうか。どうすれば、防げたのだろうか」と悩み、自分で自分を責めたりする。そのような時こそ、セルフコンパッションを実践する時だ。

 まず、いまが自分の人生で最も困難な時期の一つであることを認識し、自分に対して特別に優しく接することだ。そのうえで、いつにも増して仕事以外の大切な人々との関係を深めることが欠かせない。一緒に充実した時間を過ごせば、気分が明るくなり、緊張がほぐれ、人とのつながりを思い出すことができる。自分の弱さを認め、勇気を出して自分の気持ちを打ち明け、助けやサポートを受け入れよう。

 ●満たされていない欲求に目を向ける

 ニューロリーダーシップ・インスティテュート共同創設者のデイビッド・ロックが提唱する「SCARFモデル」によれば、失業は、その理由にかかわらず、人間の5つの社会的側面、すなわち「立場」(他者と比較した自身の相対的重要度)、「確実性」(将来を予測できる能力)、「自由裁量」(物事をコントロールできているという感覚)、「仲間意識」(他者に対する安心感)、「公平性」(平等な扱い)のすべてを侵害する。

 多くの人にとって、職を失うということは最もストレスが多く、痛みを伴う経験の一つだ。あなたもその一人ならば、自分の気持ちをないがしろにしてはいけない。嘆くことを自分に許し、どうすれば心の傷を癒やすことができるか考える時間を十分に取ろう。心身ともに完全な状態に戻すことに集中するのだ。

 まずは、自分が失ったと感じるもの、そして前進するために必要なものをまとめて、日記などに書き連ねていく。次に、あなたが感謝している人々や出来事、あるいは楽しみにしていることを書き出す。そうすることで、自身の思考を喪失や不安から、コントロールや前向きな勢いへとシフトさせるのだ。

 ●自分がコントロールできる物事に集中する

 感情的知性(EI)を用いて、いまの状況に対する過剰反応、あるいは過小反応を調整し、自分のコントロールが及ぶ範囲の物事に専念する。なぜこのようなことが自分に起きのか、説明できる理由を探そうとするのは逆効果だ。それでは過去に囚われたままで、前へ進もうとする力が湧いてこないからだ。

 残酷な現実を認めながらも、ある程度の楽観と、いずれはこの状況を克服できるという認識を持ち続けよう。そうすることで、感情自制モードではなく、問題解決モードに入ることができる。これこそが、こだわりを捨て、前に進むためのカギとなる。

 最初は少しずつ、自分のスキルや能力を活かせる何か、たとえば気になっていた団体でボランティア活動をするといったことから始めよう。自信が甦り、自分は意義のある仕事をしているのだと再び感じられるようになり、ストレスレベルも下がるはずだ。