2. その職務を果たすことに喜びを感じる理由を説明する
仕事を楽しんでいれば、人はより一生懸命、よりよく、より長く働くということは周知の事実であり、従業員のそのような献身を望まない雇用主はいない。ただし、あなたは仕事と喜びがどのようにつながるかを明確に示すべきである。「Xをすることが楽しいから」という単純なつながりだけでももちろんよいが、どのように、あるいはなぜ喜びを感じるのかを示すとより価値のある印象的なものとして伝わるだろう。
回答例
以下に、仕事と喜びのつながりを示す回答例を挙げよう。
・「人が何かを学ぶ手助けすることに、いつも喜びを感じてきました。学校でチューターをした時も、前職で研修に関わった時も、そうでした。ですから、人材開発部門で働くことに充実感を覚えるのです」
・「文章を書くことや編集をすることがとても好きです。大学時代は学生新聞に携わり、インターンではウェブコンテンツの編集をしていました。ライティングはこの仕事の大部分を占めるので、わくわくしています」
・「いつもデータ分析を楽しんできました。数字を使ってストーリーを語り、アイデアを伝えるというチャレンジが面白いのです。このチームでデータ可視化(データビジュアライゼーション)の仕事をするのが楽しみです」
3. スキルや経験があるため、その職務を首尾よく遂行できることを説明する
面接官は、あなたという人物と、いまあなたがもっている能力を採用すると同時に、あなたが将来、何を達成できるかにも関心がある。つまるところ、ただ雇用するだけではなく、あなたに投資しようとしているのだ。
あなたがその職務を首尾よく遂行し、成長もするという自信を示そう。「私はXの経験がありますので、成果を上げる自分を想像できます」「~に自分のスキルを活用するのが楽しみです」「~によって貢献できると思います」という表現をするとよい。ポイントは、これまでの経験があるからこそ即戦力になると説明することだ。
回答例
以下に、その可能性を伝えることができる回答例を挙げよう。
・「私は過去に同じような仕事をこなしてきましたので、消費者の関心を引くために何が必要かを知っています。ですから、このポジションで成果を上げる自分を想像できます」
・「私が最も力を発揮するのはコラボレーションが必要な場合です。ですから、複数の部署と調整しながら目標を達成するために働くことが楽しみです」
・「この仕事への理解を深め、より効率的かつ効果的にプロジェクトを運営する方法を必ず見つけられるでしょう」
3つのアプローチを組み合わせた回答例
ヘルスケア企業のマーケティング担当の面接を受けると仮定しよう。ライティングのスキルと創造性、それにコラボレーションが重要事項とされているポジションだ。以下に回答例を挙げる。
秘訣:具体的に話す
回答を考える時に注意してほしいのは、具体的であればあるほど強力なインパクトを与えるということだ。逆に言えば、曖昧であればあるほど、月並みな、下手をすれば型通りの答えに聞こえるだろう。
上の例では、家族にヘルスケアの専門家がいることにさりげなく触れ、単なるライティングではなく、コピーを書くことと編集戦略に焦点を絞り、コラボレーションができることを示す具体例としてブレインストーミングに言及している。これらはすべて具体的な例であり、回答を個人的かつ独自性のあるものにしている。
言うべきではないこと
一方、「なぜこの仕事に就きたいのか」という質問への不適切な回答は、以下のようなものだ。わかり切ったことかもしれないが、繰り返しておくだけの価値はある。このような理由を挙げてはいけない。
・給料がよいから
・地位に伴う特権や福利厚生がよいから
・肩書きが好ましいから
・リモートあるいは特定の場所で働きたいから
・第1志望の職に就けなかったから
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次回の面接に行く前に、「なぜあなたはここで働きたいのですか」という質問への答えを、頭の中で唱えるだけではなく、声に出して言う練習をしよう。
最適な回答は、あなたがこの仕事を求める理由ではなく、企業側があなたを求めるべき理由を示すものであることを心に留めてほしい。あなたの情熱、熱意、そして具体的根拠のある楽観的な見通しを伝えれば、面接官のウィッシュリストと結び付き、「あなたにこそ、ここで働いてほしい」と思ってもらえるだろう。
"How to Answer 'Why Do You Want to Work Here?'" HBR.org, August 03, 2022.