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採用面接で必ず聞かれる問い「なぜあなたはここで働きたいのですか」に対して、価値のある答えをするためには3つのアプローチと、具体性が重要であるという。本稿では、具体的な回答の事例を提示しながら、アプローチの内容を解説する。

 

 採用面接で最も答えるのが難しい質問は、最も単純で直接的な質問でもある。必ず聞かれ、絶対に答えを準備しておくべき質問は、これだ。

「なぜあなたはここで働きたいのですか」

 同じように面接で答えに窮する質問「あなた自身について話してください」と同様、「なぜここで働きたいのですか」と問われたら、何の手掛かりも文脈もなく、面接官からのヒントもないまま、具体的な回答に集中しなければならない。そこには何の制約もないが、だからと言って、ただ思いつくままに何でも話せばよいわけでもない。

「なぜあなたはここで働きたいのですか」という質問に答える方法

 筆者は16年間、コミュニケーションのコーチとして活動し、面接テーブルの両側に何度も座ってきた。その経験から、3つの基本的なアプローチをお勧めしたい。

1. 雇用主の商品、サービス、ミッションに対する情熱を示す。
2. 職務を果たすことに喜びを感じる理由を説明する。
3. スキルや経験があるため職務を首尾よく遂行できると説明する。

 この3つのアプローチをどのように組み合わせてもよい。ただし、答えは簡潔にまとめたい。そこで、それぞれのアプローチについて効果的な取り組みと、指針として使える回答例を挙げよう。

 1. 雇用主の商品、サービス、ミッションに対する情熱を示す

 雇用主が知りたいのは、商品やサービス、ミッション、あるいはブランドを通した自社の活動に対して、あなたが情熱を持っているかどうかである。あなたの情熱をその企業の中核を成す価値観(コアバリュー)と結び付けて語るのもよい。企業の価値観はたいてい、ホームページに記されている。あなたの個人的価値観と合致するミッションを持つ非営利団体に応募する場合などは、その職に対する熱意を示すことがとりわけ大切だ。

 だが、どうすればその熱意が伝わるのだろうか。CEOコンサルタントのサビーナ・ナワズはHBRの記事"How to Show You're Passionate in an Interview"で、「何かに情熱を持っていれば、それはあなたの生活のほかの側面にもにじみ出るものです」と有益なヒントを提供している。

 あなたの生活の中からそのような例を見つけ出して、面接で伝えよう。熱意を表現するとは、「声を張り上げたり、テーブルをこぶしで叩いたりすることではありません。企業はそれを熱意と同一視しがちですが」とナワズは言う。要は「あなたが何を最も大切にしているか」を伝えることである。

 また、情熱があることに加え、なぜ情熱を持っているのか、その理由をはっきりと伝えたい。サイモン・シネックは著書『WHYから始めよ!』(日本経済新聞出版、2012年)で「なぜ」と問うことの大切さを説いている。それは営業電話やCEOの基調スピーチにとどまらない。採用面接においても大切なことなのだ。

 回答例

 以下に、情熱とミッションを効果的に結び付けた回答例を挙げよう。

・「社会人になってからほぼずっと、Xを強く支持してきました。~と考えるからです」
・「仕事の上でも個人的にも、私にとってXは非常に大切です。なぜなら、~だと確信するからです」
・「私はXにとても情熱を持っています。同じ価値観を持つ組織で働くと思うとわくわくします」