イノベーションを育むコラボレーション

『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌からコラボレーション特集への寄稿を依頼された時、私はまず次の点を確認した。

 他の寄稿者と意見交換して、そこから得られた知見を織り込むことは可能なのかと。同誌が学問的伝統に深く根差した雑誌であることを承知していたので、その点に一抹の不安が頭をよぎったのである。

 私が長年の経験から学んだ限り、「アカデミック・コラボレーション」はいささか矛盾した言い方である。この用語の対象は往々にして非連携的で、悪くすると、コラボレーションとは名ばかりで、年功序列という長年にわたる慣行、職務面や金銭面のインセンティブによって支えられる厚い壁を持つ縦割り組織である。