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草の根から改革を進める
2007年某日、5時間に及ぶ〈パワーポイント〉のプレゼンテーションの途中、財務ソフト大手インテュイットの共同創業者であるスコット・クックは、自分がスティーブ・ジョブズではないことを悟った。当初は、やり切れない失望感にさいなまれた。
クックも、多くの起業家と同様、トム・プルーと一緒に創業した会社をアップルのようにしたかった。そう、デザインにこだわり、イノベーションが次々に生まれ、素晴らしい製品やサービスによって消費者をいつもあっと驚かせる会社である。しかしそのような成功には、強烈な個性を持ったビジョナリーがトップにいなければならないように思えた。
本稿では、クックとインテュイット経営陣が「スティーブ・ジョブズ・モデル」に代わるものをどのように見出したかについて紹介する。同社はこの新しいモデルによって、デザイン主導のイノベーション企業になることに成功した。本気でそう望むならば、どのような企業でも──事業規模が小さかろうと、平均的な会社であろうと──同じように抜本的な改革を実現できる。