
責任を取ることはリーダーシップに欠かせない要素だが、責任感が過剰である場合は見直すべきだ。リーダーとして負担を抱えすぎることで、燃え尽きてしまう可能性がある。また、リーダーのネガティブな感情がメンバーに伝わり、チームに悪影響をもたらすことにもなりかねない。本稿では、自分の責任感が強すぎないか検証し、みずから負うべき責任と他者に委譲すべき責任のバランスを見極める方法を解説する。
責任感が強すぎないか見極める
責任を取ることは、強いリーダーシップに不可欠な要素である。「最後は私が責任を取る」「リーダーシップとは、ほかの人が言いわけをしている間に責任を取ることだ」と、よく言われる通りである。
しかし、リーダーは自分でも意図せずに、他人の仕事や感情、失敗、問題を自分のものとして引き受け、過剰に責任を負うことがある。たとえば、技術部門のシニアリーダーを務めるジョイスは、チームの負担を軽くするためにほぼ毎週末、仕事をしていた。タイラはチームのあるメンバーの個人的な苦悩に責任を感じ、心を痛めていた。法律事務所のパートナーのアレックは、あるクライアントが引き起こしたやっかいな状況の解決に奔走し、体調を崩してしまった。
彼らには責任感が強すぎること以上に重大な欠点が存在するかもしれない。過剰な責任感によりバランスが崩れると、リーダーにもチームにも悪影響が及ぶ。
責任感が強すぎるリーダーは、常に負担を感じて打ちのめされ、燃え尽き症候群になる可能性がある。さらに、過剰な責任感は他人から力を奪い、能力に対する自信を失わせることもある。リーダーが密かに憤りを感じていると、チームがそれを察して、ネガティブな感情を受け止めてしまうのだ。
たとえば、次のようなことはないだろうか。他人のニーズにはよく注意を払うが、自分のニーズをおろそかにしている。 他人がやらなければならないことを頻繁に思い出させ、彼らが無責任に見えて腹を立てることがある。何かを頼まれたら基本的に「イエス」と答えるが、その後に怒りを覚える。何かがうまくいかないと、その重圧をすべて自分のものと感じる。思い当たるものがあるなら、責任感が過剰であることのサインかもしれない。
過剰な責任感は、簡単には直らない習慣でもある。他人を助けると気分がよいものだ。自分が有能だと感じ、ストレスが軽減され、争いを避けることができる。このような習慣は、周囲の人々によって強化され、周囲はあなたを頼りにするようになる。
ただし、あなた自身が燃え尽きて怒りを覚えるまで、放っておく必要はない。次のような戦略を用いて、より適切な責任のバランスを見つけよう。