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共感力のレベルは人それぞれである。すべてのリーダーが生まれつき共感力に優れているわけではないが、共感を力強く伝えることはできる。本稿では共感を表現するための4つのポイントを提示する。共感を伝えるには、すべきこととすべきでないことがあり、これらに基づいて行動することでリーダーは効果的に共感を表現できるという。

共感を表現するための4つのポイント

 多くのビジネスコンサルタント、そして当然ながら多くの労働者は、共感が極めて重要なリーダーシップのスキルであることに同意するだろう。CEOとは「チーフ・エンパシー・オフィサー」(最高共感責任者)の略称だと言いたくなる時さえある。相手の立場に立ち、状況や課題を理解できる人は、信頼と信用を築くために必要な資質を備えている。そこに疑いの余地はない。

 ここ数年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをはじめ、ストレスのたまる出来事が少なくなかった。だからこそいっそう共感に満ちたコミュニケーションは望ましく、必要なものになってきた。動画やソーシャルメディアの投稿、メールといったバーチャルな表現手段が使われることで多くなり、共感力はさらに強く求められるようになった。

 アメリヘルス・カリタスCEOのポール・トゥファーノは、2020年7月のマッキンゼー・アンド・カンパニーの記事で、こう語っている。「先行きの見えない不安な時期が続いていますが、これはより強靭で結束力があり、モチベーションの高い従業員を生み出す大きなチャンスでもあります。CEOが牧師のような役割を果たせるとよいのでしょう。バーチャルな世界で従業員に手を差し伸べ、従業員の話に真剣に耳を傾け、実情に共感し、つながろうとすることです。そうすることで、従業員にインスピレーションを与え、社内の絆と忠誠心を強化できる大きな可能性が生まれます」

 しかし、共感力のレベルは人それぞれである。すべてのリーダーが等しく共感力に優れているわけではない。生来の共感力が乏しいということは、共感を示すことも、そのよさを感じることもできない致命的な欠陥なのだろうか。

 いや、そうではない。幸いなことに、もともと共感力が強くない人も含めて、どのようなリーダーでも、団結やアカウンタビリティ(結果に対する説明責任)のメッセージと同じように、共感のメッセージを力強く伝えることはできるのである。

 困難な時期に、最も有効なリーダーシップコミュニケーションは、相手に関心を持つこと、苦しみを認めること、思いやりを示すことだ。そして、初めのうちは必要ないかもしれないが、いずれは状況を緩和する適切な対策を取ること、あるいは少なくとも安心感を与えることである。あなたにどれだけ共感力があるか、あるいはあると思っているかに関係なく、コミュニケーションでは次の4つに重点を置くことが大切である。

聞く

 共感を示すうえで、聞くことは話すことと同じぐらい必要不可欠なコミュニケーションツールとなる。ただ関心を持って聞く態度で臨むだけでも、深い理解と共感が伝わることがある。聞くこととは、「私はどういう状況なのかを知りたい」という姿勢を示す。

 ただし、うまく聞くためには、その昔、幼稚園の先生に言われた通り、自分の口を閉じ、耳を大きく開くことが大切だ。

認める

 リーダーは、直接的に困難に立ち向かう態勢をとっていなくても、困難を認め、それがスタッフに及ぼす影響を認めることで、共感を表すことができる。認めることとは、「私はその状況を理解している」ということを示す。

 たとえば、「パンデミックにまつわる不安が広がっていることは、よく理解しています」「この組織再編のプロセスがどれほどストレスになるか、わかっています」「私たち全員にとって、大変厳しい四半期でした」などと話すことで共感を表す。

思いやる

 リーダーは、困難がチームに及ぼす影響を認めるだけでなく、心からの思いやりを表現することで、共感を伝えることができる。

 その一方でリーダーはチームに、関心と思いやりのあるコミュニケーションを期待する。この期待は双方向なのである。思いやりを表現するとは、「私はこの状況に心を動かされている」ということを示す。

 たとえば「あなたが仕事とプライベートのバランスを取れているかどうか、とても気にかかっています」「私たちが何より優先するのは、あなたの現場での安全です」「スタッフのバーンアウト(燃え尽き症候群)を大変心配しています」などと話すことで共感していることを伝える。