多様なステークホルダーに応える時代

編集部(以下色文字):パンデミックやウクライナ侵攻によって、経営を取り巻く環境が一変しました。いま、企業経営にどのような変化が起きているのでしょうか。

江川(以下略):まず、経営環境の不確実性が従来以上に高まっています。ロシアによるウクライナ侵攻は、欧州のみならず世界中で燃料費の高騰を招きました。これは事前に予想できなかったことです。グローバル化により経済の連動性が高まったうえに、地政学的リスク、環境問題が複雑に絡み合って不確実性が増大した一例です。

 2つ目はデジタル・トランスフォーメーション(DX)です。自動車業界では、CASEと呼ばれる技術革新が進んでいます。長年金融機関が独占してきた決済サービスには、異業種からの参入が相次ぐなど、あらゆる業界で競争条件が変わり、ディスラプションが起きています。