利用しやすい評価方法

 筆者らは、評価をより簡単なものにするために、「クイックバリュー」という新しい方法を開発した。この方法は、何百人もの中規模企業のリーダーと直接的に関わり、自社の価値とその根拠を理解できるように手助けした筆者の一人、リード・フィリップス自身の経験を土台としている。

 この自社診断を実施するに当たって、社内チームが将来の財務予測をする必要はない。必要なものの大半は手元にあるし、手元にないものも簡単に入手できる。エグゼクティブは、どのようなコンサルタントよりも自社の事業に精通しているため、誰かに教えを請う必要もない。

 クイックバリューのアプローチは、企業の最も重要なバリュードライバーを徹底的に分析することに力点を置く。バリュードライバーとは、その事業を独自性のあるものにしている特徴のことである。同じ業界にあり、似たような評価基準を持つ企業でも、リーダーシップの質から価格決定力、ブランドの資産価値にいたるまで、あらゆる点で大きな違いがあるだろう。したがって、このバリュードライバーを入念かつ徹底的に、そして率直に評価することが、個々の企業の価値を割り出すために不可欠なのである。

 まず、あなたの事業にとって最も重要な価値ドライバーを特定しよう。8~12項目ほど特定することをお勧めする。

 次に、それぞれの項目について0~10のスコア(10が最高)で採点し、バリュードライバー・スコアを作成する。このスコアがあなたの企業評価の重要な要素となる。というのも、ほかの評価方法では見過ごされがちな、事業の質的側面を定量化するからである。

 続いて、チームメンバーと共に、マルチプル法を用いて自社と類似した公開企業の価値を評価する。自社が中規模の非公開企業の場合は、非公開企業のM&Aの低めの倍率(一般に25~30%低い)で調整する必要がある。

 最後に、情報を総合して結論を出す。バリュードライバーの評価、EBITDA倍率、調整後のEBITDAという3つの重要データの作成は骨の折れる作業だが、そのあとは比較的単純な計算で、あなたが求める数値、つまり、明確で十分な根拠のある企業価値を手に入れることができる。

 この評価プロセスによって、次のことが可能になる。

・真の価値より割安な価格での売却を防ぐ。
・バリュードライバーの強化により、企業をよりよくすることに集中できる。
・価値創造を中心に据えた戦略的プランを構築できる。
・収益やEBITDA目標ではなく、創出した価値をベースにしたインセンティブを従業員に与えることができる。