
職場での友情の構築や、チームメンバー間の有意義なつながりは、大きな成果をもたらす。しかしこれまではそのようなつながりの構築の多くが、偶然に行われてきた。本稿では、リーダーが戦略的にチームのつながりを強化すべきと説く。そして、そのための具体的な取り組みを3つ提示する。
リーダーがチームのつながりを強化するための3つの戦略
一見したところ、職場の友人関係は些細なものに見える。生産性や効率、収益性といった従来の組織目標とは明らかに異なる「あったらよい」ものだ。
これほど真実とかけ離れた思い込みはない。有意義な職場でのつながりは人間の基本的な心理的欲求である帰属意識を満たす。そのことが、高業績チームの中核となる成果を多くもたらすことは、さまざまな研究で明らかになっている。
まず、職場で緊密な人間関係を築いている従業員は、より生産的で、創造的で、協調性が高い。また、仕事への満足度が高く、バーンアウト(燃え尽き症候群)を起こしにくく、転職しにくい。つまり会社により優れた貢献をするだけでなく、チームに安定をもたらす。
これに対して、従業員がチームから孤立していると感じたり、職場で孤独を感じたりすると、パフォーマンスが低下する。集中力が落ちて、コラボレーションへの意欲も低下する。さらに彼らは、孤独を隠すことに貴重な認知資源を消費して、プロジェクトを遂行するための精神力を低下させてしまう。つまり仕事をする能力が低下する。
緊密なつながりの価値を論理的に評価することと、そのために何をすべきかを知っていることは別である。1人のリーダーが、同僚たちの絆を深めるためにできることは何だろうか。
端的な答えは「たくさんある」だ。
職場の友人関係が偶然生じるものではないことは、研究からわかっている。それは一定の条件が揃うと花開くものなのだ。その条件の多くは、リーダーが戦略的に仕掛けることができる。これはリモートワークやハイブリッドワークの環境でも変わらない。そこで「緊密なつながりの科学」から得られたインサイトを活用する3つの戦略を紹介しよう。