合致:共通のビジョンとパーパスを軸に従業員を団結させる
コーチング型リーダーに求められるタスクの中で最も困難なのは、従業員と会社のパーパスや価値観を合致させることだ。多くの大企業で、従業員たちは自身のパーパスと組織のパーパスを結び付けることに苦心している。多くの従業員には、会社全体の目標は日々の業務とかけ離れた高尚なものに感じられ、自分と重ね合わせるには距離があるのだ。
リーダーの任務は、そのような言葉に命を吹き込み、会社のパーパスや価値観を従業員一人ひとりの仕事に結び付けることだ。
オープンソースソフトウェア企業レッドハットの元CEOジム・ホワイトハーストは、同社のオープンソースのミッションと、透明性やオープンさへの情熱の下に従業員を結集させることで、それを実現した。「給料のためだけに働いている人は、よけいなことは何もしない。だが、利益を超越したパーパスを信じている人は、自分の持てるすべてを捧げる」と、ホワイトハーストは言う。
挑戦:最大限の力を引き出す
一流アスリートやトップリーダーが潜在能力を最大限に引き出してくれるコーチを積極的に探すように、従業員や若手リーダーもそのような存在を求めている。彼らは楽をさせてくれるリーダーを欲しているわけではなく、逆に難題に挑みたいと思っている。
彼らが求めるリーダーとは、アムジェンの元CEOケビン・シェアーのような人物だ。シェアーは自社のリーダーシップチームに対して、現実的で結果に則した業務評価を行うよう求めた。具体的には、従業員に率直かつ建設的なフィードバックを提供し、パフォーマンスの高い基準を設定し、測定可能な目標を用いて進捗を確認することである。
コーチング型リーダーは、従業員の力を限界まで引き出し、個人およびプロフェッショナルとして成長させるために、彼らをコンフォートゾーンの外に押し出すべきだ。そうすることで、彼らはパフォーマンスが向上するだけでなく、将来のリーダーとしても頭角を現すようになる。