●顧客の未来を予測する能力

 事業者向け間接資材(MRO)販売代理業のWWグレンジャーは、アカウントマネジャーの求人広告の中で、「市場データの知識とリソースへのアクセスを有し、顧客のビジネスの進展に迅速に対応できること」を、その必須要件としている。

 マイクロソフトではさらに踏み込み、デジタルネイティブのスタートアップにクラウドサービスを販売するアカウントエグゼクティブ(AE)に対して、「スタートアップ企業が、そのビジネスモデルをどのように育て、成熟させるかに関する理解力」を求めている。

 ●社内外とのコラボレーション能力

 バンク・オブ・アメリカのプライベートクライアント担当マネジャーは、「スペシャリストやサービス担当者をはじめ、必要なスタッフと連携して、投資・受託・融資・金融ソリューションを統合的に提供」することが求められている。

 多くの営業部隊にとって、チームワークはすでにDNAの一部になっているが、顧客に1対1でアプローチしてきた営業担当者にとって、チームワークは地殻変動にも相当する大きな変化だろう。また、営業担当者は顧客企業の複雑な購買組織とのコラボレーションを牽引し、多様な意思決定者の間で購買案件についての合意を形成しなければなけない。

 ●デジタルチャネルとバーチャルチャネルを活用する能力

 ファイザーの営業担当者の場合、「最新のデジタルツール(例:ヴィーバエンゲージ、ズーム、ウェブエックス、マイクロソフトオフィスなど)を有効に活用するとともに、新規ツールおよびベータツール(例:デジタルトリアージアプリ)にも迅速に適応し、優れた顧客エンゲージメントを獲得」できなければならない。

 営業担当者がデジタルチャネルやバーチャルチャネル、その他の対面による営業チャネルをいつ、どのように使うか、または併用するかを理解していれば、満足度の高いカスタマーエクスペリエンス(CX)を得られる可能性が高まる。

 ●データの力を引き出す能力

 3Mの国内主要アカウント担当マネジャーには、「高度なエクセルスキルと、複雑なデータアナリティクスを扱う能力」が必要とされる。

 この3Mの求人広告は、少し極端な例かもしれないが(ほとんどの場合、営業担当者が「アナリティクスの達人」である必要はない)、営業担当者には、顧客とのやり取りの中で「もっとアナリティクスを活用しよう」とする意思が必要であり、実際にその適性が欠かせない。これには、次善策の推奨といったアルゴリズムが示したアウトプットを活用する能力や、AIモデルを訓練するためにフィードバックを共有する意欲などが含まれる。

 ●適応能力

 アップルのエンタープライズチャネル・アカウントエグゼクティブに必要なのは、「変化に適応し、パズルのピースがすべて揃っていなくても、正しい道を見つけること」だ。

 営業担当者は、顧客に変化をもたらす主体になることが少なくない。しかしそれだけでなく、伝統的な四半期ベースの営業計画に合わせた働き方に代わって、営業計画に対してよりアジャイルな営業アプローチが主流になる中では、自分たちの世界でも新しいダイナミクスに適応しなければならない。