1on1ミーティングはなぜ失敗に終わるのか

 ビルが率いるチームの離職率は高く、実際のところ、社内のほとんどのチームを上回っていた。ビルは自身が優れたマネジャーだと思っていたが、会社を辞めていくチームメンバーの退職面談によれば、彼らは「自分の職務に対して有意義な関与を深めてくれた」あるいは「職務を十分にサポートしてくれた」とは感じておらず、業務を分担する中で他のメンバーと作業が重複しがちであることが明らかになった。

 いったい、ビルは何を間違ったのだろうか。筆者が彼やチームメンバーから話を聞いたところ、ある問題が浮かび上がった。ビルは直属の部下と定期的に行う「1on1ミーティング」(以下1on1)の回数が、ほかのマネジャーより少なかったのだ。メンバーと個別に面談する際も、その主題は部下の業務や能力開発ではなく、ビル自身が助けを必要としている重要課題に偏っていた。

 本稿に登場するビルは、筆者がともに働き、研究対象としたマネジャーを重ね合わせた、架空の人物である。ビルにとって、1on1が盲点になっていたのは明白であった。それは珍しいことではない。