6. 失敗談は短くまとめる

 失敗談は、主役ではなく前座だと考える。失敗談は、改善と向上に関するあなたのストーリーに文脈を与え、お膳立てをするものなのだから、簡潔でなくてはならない。「Zが起こり、Yという結果になりました。しかし、私たちはAを学び、Bを適用しました」という具合だ。失敗そのものについて話す時は、短くまとめる。

7. 失敗を弁明しない

 失敗について話した後、それを弁明したり、正当化したり、最小化したりして、ダメージを抑えようとする応募者もいる。しかし、答える時のポイントは「学習、修正、向上」であることを忘れてはいけない。「あなたが行った改善の努力」を反映した説得力あるストーリーを語れば、その失敗はメインストーリーではなく、副次的なものになる。

 失敗が注目されてしまう、防御的な回答の例を以下に挙げよう。

「それほど大きく後退することはありませんでしたが、多くの人が過剰に反応したのです」

「私は常に正しかったのですが、彼らはそれに気づかなかったのです」

「私のミスは、長い目で見れば有益でした。なぜなら……」

8. 使う言葉に気を配る

 本稿を通して、人が失敗からどのように学び、どのように克服するかを示すさまざまな言葉を使ってきた。同じ言葉の繰り返しにならないよう、それらを覚えておいてほしい。

 学習について話す時は、次のような言葉を使う。

・学んだ
・発見した
・洞察を得た
・認識した
・理解した

 課題を克服したことを話す時は、次のような言葉を使う。

・克服した
・改善した
・高めた
・修正した

 課題を再考したことを話す時は、次のような言葉を使う。

・軌道修正した
・調整した

回答例

 上記のアドバイスをまとめると、面接において効果的な失敗談は以下のようなものになる。

「昨年、私のチームはクラウドベースの新しい社内ファイリングシステムを導入し、可能な限り早急に使えるようにしました。しかし、スタッフからエラーの報告や不満が寄せられ、彼らの学習曲線に配慮していなかったことに気づきました。そこで、社内のコミュニケーションチームと話し合い、使い方の動画やITスタッフに質問する機会、問い合わせ専用メールアドレスの設置など、全社的な教育キャンペーンを展開しました。導入計画にこれらを含めなかったことは後悔していますが、この時起きたことを教訓に、いまではすべての製品の導入においてユーザー教育を優先しています。現在では、スタッフの95%が毎日クラウドプラットフォームを使用しており、ファイルの効率性と安全性が向上しています」

 求職者が完璧な経歴を持っているとは誰も思っていないが、将来の雇用主に疑念を抱かせるようなことはしたくない。「失敗」に関する質問に対して、あなたのレジリエンスや学習、進歩に向けた取り組みを強調するような回答をすれば、採用担当者はあなたがどのように失敗したかではなく、どのように成功したかを記憶するはずだ。


"How to Answer 'Tell Me About a Time You Failed' in a Job Interview," HBR.org, January 10, 2023.