真のグローバル企業に生まれ変わるために
存在意義を問い直す

編集部(以下色文字):オリンパスの業績は、竹内さんが2019年に社長兼CEOに就任されて以降、好調に推移し、2022年度には過去最高益を記録し、23年度も最高益を更新する見込みです。2011年の粉飾決算事件を機に経営危機に陥ってから、笹宏行社長(当時)とともに変革を牽引し大きな成果を上げたといえますが、オリンパスはどのような問題を抱えていたのでしょうか。

竹内(以下略):2011年に発覚した当社のスキャンダルは重大な問題で、私はその対応に当たりました。ただ、危機に陥ったことでコーポレートガバナンスのあるべき姿を実現する機会にはなりましたが、オリンパスの企業価値を高めるために行った抜本的な変革と直接的な関係はないととらえています。危機の原因は経営陣の一部が不正行為に手を染めたことであり、本業の失敗で経営が揺らいだわけではありません。顕微鏡や内視鏡などの事業には、ほぼ影響を及ぼしませんでした。

 スキャンダルと関係なく、私はオリンパスの経営には改善すべき点が数多くあると感じ、かなり早い時期から、この会社がどうすればよくなるか考えてきました。1980年に入社した2年後から米国に駐在し、日本の本社の行動を外から冷静に評価できるようになったことで、会社が抱えている深刻な課題が目につくようになったのです。