従業員は企業に対して、
企業は従業員に対して、
いま何を求めているのか

編集部(以下色文字):杉田さんは日本マイクロソフト人事本部長を経て、2021年にアステラス製薬の人事部門長に就任されました。従業員が企業に求めるものは変化してきたといわれ、「大退職時代」という言葉が生まれたように、コロナ禍でその変化が加速したという指摘もあります。人事のプロフェッショナルとしてキャリアを積み重ねる中で、それらを実感することはありますか。

杉田(以下略):社会や時代の変化に伴い、従業員が会社や仕事に求めるものが変化してきたのは確かだと思います。その意味では、世代間の違いを感じる機会が増えてきました。

 若い従業員を見ていると、仕事を通じて世の中に貢献したい、それを目に見える形で表現したいと考える人が多いと感じます。私は完全なバブル世代で、若い時にそのようなことを考えていた人はほとんどいません。競争意識が強く、仕事にやりがいを求めても、世の中にどれだけ貢献できるかというより、自分自身の中で完結するものでした。