柔軟なブランドカテゴリー

 一般に、ブランドは自社の製品カテゴリーに留まるものと考えられているが、その境界線は意外に柔軟であることが研究からわかっている。実際、アマゾン・ドットコムはみごとに書店から小売業やテクノロジー分野に進出し、ポルシェは自動車からファッション、スポーツ、旅行用品への進出に成功した。こうした事実は、ブランドに本来の定義を超えていくポテンシャルがあることを示している。

 しかし異業種ブランド連携は、この種の拡張を大きな社内投資なしで可能にする。そして、ソーシャルメディアのフォロワー分析を通じて潜在的なパートナーを特定することは、伝統的な調査やフォーカスグループよりもスピーディで有効であることが多い。

 実際、先行する研究から、ブランドのオンラインフォロワーの構成は、顧客の好みや関心を示す信頼できる尺度であることがわかっており、ブランド間で重複するフォロワーのパターンは、消費者の共通の関心を見極める有用な方法といえる。別の言い方をすると、ほとんどの人は自分が好きな商品のブランドをフォローしているから、2つのブランドの間で重複するフォロワーが多ければ、ターゲット顧客の関心はかなりよく似ている可能性が高い。

 もちろん、このアプローチにも限界はある。マネジャーはソーシャルメディアのフォロワー分析と合わせて、潜在的な共同ブランディングの恩恵とリスクを評価すべきだ。とりわけ法的、物理的、倫理的なハードルは、こうした試みの成功を妨げるおそれがある。ただ、筆者らの研究に基づけば、ソーシャルメディアの重複フォロワー分析は、その可能性を予測しにくい意外な提携相手を見つける、迅速で安価な方法になりうるはずだ。


"Research: How Social Media Can Help You Find a Partner Brand," HBR.org, March 30, 2023.