自分の弱みをどう説明するか
自分の最大の弱点を面接で明かす時は、誠実に、しかし自滅的にならないようにすることが重要だ。面接官はあなたの弱点を記憶していて、後で(無意識かもしれないが)あなたに不利な決定を下すかもしれない。したがってマイナスの印象を限定的に留め、緩和することが重要だ。
以下のヒントは、自分を守りつつ責任ある回答をする助けになるだろう。
1. 「弱み」を「課題」と位置づけ直す。回答でそのように言い直してもよい
このように答えると、「弱み」という傷のようなものの痛みを取り除き、修正可能なものに置き換えることができる。「弱み」は「課題」と比べて永続的なものという響きがある。
2. 研修や決意によって是正可能なスキルを選ぶ
データ分析やプレゼンテーションスキル、ソフトウェアの専門知識といった仕事のスキルは、一般に学習可能であり、面接官もそれを知っている。その一方で、せっかちであるとか、考え方が無秩序だとか、不安定だといった行動面の課題は、克服することが難しい人格的な欠点と見なされかねない。
3. ありがちな表現を避ける
「完璧主義」「仕事中毒」などのありふれた欠点や、弱みに見せかけた強みは口にしないことだ。たとえば「ときどき働きすぎてしまう」「リサーチしすぎてしまう」「あまりにも多くのアイデアを考えてしまう」などである。
4. 職務の中核を成さない課題を選ぶ
あなたの強みは、募集要項に書かれたスキルに沿ったものであるべきだが、あなた課題は募集要項とは関係ないものであるべきだ。その仕事上、得意であることが求められている要素について、苦手だとは言いたくないだろう。
5. 課題を選んだら、それを3つに分けて説明する練習をする
・弱点
・その弱点のマイナーな影響
・その弱点を克服する熱意
強みの時と同じように、回答に3つの要素すべてを含めてみよう。ただし、今回は、その影響を簡潔かつ軽微にし、課題そのものよりも、課題を克服することに重点を置く。
すべてを含めると、次のような回答になりうるだろう。
回答例1
「私の課題の一つは、パワーポイントやキャンバ(Canva)といったプレゼンテーションツールを、仕事で使いこなした経験がないことです。これまでは、こうした資料を作成してくれるスペシャリストがいました。ただ、彼らはその内容を十分理解しているとは限りません。したがって、今年の目標の一つは、これらのアプリケーションの使い方をマスターし、自分で自分のプレゼン資料を作成し、そのスキルを継続的に向上させることです」
回答例2
「私の課題の一つは、特にスピードが求められる環境で、自分が書いたものをきちんと校正することです。私はやや時間をかけがちで、十分な時間が取れないこともあります。ただ、間違いを放置することもしたくありません。したがって、周囲のライターやエディターに自分が書いたものをチェックしてもらうようにしています。さらに生産的で効率的な編集スキルを身につけるために、ライティングの講座を受講することも検討しています」
回答例3
「私の課題の一つは、クラウドファイリングプラットフォームや、データベースツール、コンテンツ管理システムなど、最近のワークプレース技術を習得することです。複雑なテクノロジーをマスターするためには、どうしても時間がかかりますが、ひとたび習得したら、楽しく使うことができますし、新しい同僚が習得するのを手伝うことも好きです。こうしたツールを自信を持って使いこなせるように、会社が講座やリソースを提供してくれることに非常に感謝しています」
強みと弱みの例
これまで述べてきた事例を簡単にまとめるとともに、いくつかの追加例を紹介しよう。
強み
・スピーチやプレゼン
・チームマネジメント
・動画制作、編集
・プロジェクト管理
・校正
・データベース管理
・細部への注意
・自分の責任を認めること
・ブレインストーミング
・グラフィックデザイン
弱み
注意:応募している仕事の必須スキルと関係のある弱みは選ばないこと。
・特定のソフトウェアに不慣れである
・データ分析や財務予測などの経験がさらに必要である
・人前で話すのが怖い
・開発関連のフィードバックを与える時、気まずさを感じる
・新しいシステムを習得するのにさらに時間が必要である
・人に助けを求めること
・時間管理
・ゴール設定
・ミーティングのファシリテーション
・権限の委譲
* * *
結局のところ、あなたを面接した採用担当者や、未来の同僚や上司が最も知りたいのは、あなたの強みや弱みではない。あなたがどういう人間で、オペレーションにどのように貢献できるかを知りたいのだ。「あなたの強みと弱みは何ですか」とは、「あなたはチームとその仕事を高め、自分の能力を正直に伝え、それを改善したり成長したりする機会を活用できるタイプの人か」と聞いているのだ。
面接に向けて、強みと弱みに関する質問への回答を練習する時は、こうしたポイントを思い出して、面接官が、面接中もその後も、最終的に、あなたのことを多くのスキルの持ち主であるだけではなく、信頼できる人間であると理解できるようにしよう。
"How to Answer 'What Are Your Strengths and Weaknesses?'," HBR.org, May 02, 2023.