強い情熱を持つメンバーのバーンアウトを防ぐ方法
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サマリー:情熱を持って仕事に取り組むことはストレスを軽減し、生産性を高める。一方で、過度な情熱は疲弊やバーンアウトを引き起こすおそれがある。情熱は適切にコントロールすることが重要であり、こうした状態を避けるため... もっと見るに、マネージャーはメンバーをサポートすべきだ。また、個人によっては情熱の維持が困難であったり、そもそも情熱を持てなかったりする場合もある。マネジャーにはそのような人々に対して、問題を軽減するための対策を講じることが求められる。 閉じる

情熱を重視することの功罪

「好きなことを仕事にしなさい。そうすれば、人生で1日たりとも仕事がつらいとは感じないだろう」と、よく言われる。この格言に背中を押されて、ここ数十年の間、人々は、自分の情熱を追求できるキャリアを見つけたり、新たにつくり上げたりしようと努めてきた。しかし、情熱をもとにキャリアを追求することは、本当にいつも好ましい結果をもたらすのだろうか。

 さまざまな研究によると、たしかに、情熱はいくつもの好ましい結果と結びついている。ストレスが緩和されたり、生産性が高まったり、キャリアが前進したりすることがわかっているのだ。しかし、筆者らの最近の研究によると、仕事に情熱を抱くことによって悪影響が生じる場合もある。疲弊したり、ことによると燃え尽き症候群(バーンアウト)の状態に陥ったりしかねないのだ。

情熱は回復の妨げになる

 情熱を抱くことの短期的、長期的影響を明らかにするために、筆者らは、米国で働く700人以上のフルタイム労働者(勤務先の業種はさまざまだ)を対象に、1日の仕事の始まりと終わりに、どれほど情熱を持っているか、どの程度バーンアウトしているかを毎日回答してもらった。すると、仕事に情熱を感じている日は、あまりバーンアウトしていると感じない傾向が見られた。この点は、これ以前の研究で見られた傾向とも一致している。ところが、筆者らの研究によると、際立って強い情熱を感じた翌日には、ふだんよりもバーンアウトしていると感じる傾向があることがわかった。

 こうした傾向が見られる理由は、強い情熱を感じると、エネルギーが湧いてきたように感じるからだ。エネルギーが湧いてくると、仕事が簡単に思えて、いつもより多くの時間とエネルギーを仕事に費やすようになる。すると自分自身のニーズ、つまり休息と回復をないがしろにし、ここに十分な時間を割かず、1日の仕事が終わっても頭の切り替えができなくなり、いつまでも仕事のことばかり考えてしまう。

 要するに、情熱を抱くと、仕事に注ぎ込めるエネルギーを増やせる半面、過酷な1日の仕事が終わった後に回復するために費やせる精神的リソースが減るのだ。そうなると、次の日に、ひときわ激しくバーンアウトを感じ、エネルギーが枯渇し、仕事への情熱を維持できなくなる。

 こうして、悪循環が生まれる。情熱が強くなると、活力が満ち溢れてきて、ふだんより頑張れる。しかし、多くの人は、そうした頑張りがもたらす代償に気づかず、仕事のことを忘れる時間を設けず、十分に休息を取ろうとしない。その結果として、疲弊してしまうのだ。

 筆者らがテクノロジー産業で働く人たちを対象に実施した研究によると、とりわけ強い情熱を抱いている人たちは、休憩を取らない傾向が強く、長い目で見てバーンアウト状態に陥る可能性が高い。この傾向は、休憩を取るようにと明確に指示された場合にも見られる。

 もちろん、だからといって、情熱を抱くべきでないと言うつもりはない。働き手のウェルビーイングと組織の成功の両方を向上させるためには、情熱が不可欠だ。しかし、筆者らの研究によると、情熱を追求しつつも、以上で指摘したような代償を払わずに済む方法があるかもしれない。健全な情熱が疲弊とバーンアウトに変容することを防ぐために、働き手とマネジャーが取れる対策がいくつかある。