髪に対する偏見を軽減する方法

 毛髪に基づく偏見や差別に対処し、それを軽減するために、企業のリーダーは以下の3つに焦点を当てるべきだ。

認識

 毛髪に対する偏見やテクスチュアリズム、そしてそれらが職場でどのように表れるかについては、まだ理解が不足している。人種的平等と黒人従業員のサポートに関する議論には、毛髪に基づく差別とテクスチュアリズムも含まれるべきだ。

 この問題に取り組んでいる実務家、教育者、コンサルタントの知識と専門性を活用するとよい。マネジャー、リーダー、意思決定権を持つ人はすべて、毛髪に対する偏見と、それが黒人女性の職場体験にもたらす重要な意味について、継続的にトレーニングを受けるべきだ。従業員も髪の差別について、継続して教育を受ける必要がある。

 ディスカッションを進める際に使用する画像についても、リーダーは意識することが重要だ。ワークショップやプレゼンで使用するストック画像は、ヘアスタイルだけでなく、髪質も多様に紹介されているだろうか。このような一見細かな点が、黒人の髪に対する偏見を取り除き、私たちがより受け入れやすく「プロフェッショナル」であると考えるヘアスタイルに関する無意識のバイアスを阻止することができる。

従業員のフィードバック

 毛髪に対する偏見が、従業員体験にどのような影響を与えるか。この点について従業員を教育するために、テクスチュアリズムや髪に対する偏見といったトピックに関するオープンな会話の場を設けよう。その際は、黒人女性従業員に特有の経験について、彼女たちの声を中心に据えることが欠かせない。

 筆者は、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に関する仕事の中で、キャリアのさまざまな段階におけるテクスチュアリズムや毛髪の差別に関する個人的な経験を包み隠さず話してきた。黒人女性従業員に「あなたの職場では、髪に関連するマイクロアグレッションやマクロアグレッションがどのような形で表れているか」と尋ねてみてほしい。たとえば、多くの黒人従業員が経験する一般的なマイクロアグレッションは、同僚から「髪を触っていいか」と聞かれることである。ヘアスタイルについて質問されたり、髪は本物かと聞かれたりすることが、どれほど人間性を奪うものか、考慮されていないことが多い。

 従業員が、黒人女性の髪にまつわる体験の特徴について学べる対話を設けることは、従業員の理解を深め、黒人女性が職場で直面する髪に関するマイクロアグレッションやマクロアグレッションを軽減する強力なツールになる。筆者は最近、アウトドアブランドのREIで、黒人女性の髪に関する体験について従業員の理解を深めるため、クラウン法に関するパネルディスカッションのモデレーターを務めた。主催者である同社のBIPOC(黒人、先住民、有色人種)インクルージョンネットワークの議長を務めるチャンドラ・ポインター・タイタスは、パネルディスカッション後のフィードバックを振り返り、筆者にこう話した。

「パワフルな経験でした。ディスカッションの間もその後も、オープンで正直な触れ合いができました。髪について議論できたことへの感謝から、『同僚に対して理解が深められたことをありがたく思う』という声まで、さまざまなフィードバックがありました。話し合いは1時間ずっと熱狂的でした。私たちは、BIPOCインクルージョン・ネットワークという素晴らしいコミュニティを持っており、メンバーやアライが所属しています。避けてしまいがちな会話を思い切ってすることで、誰もが自分自身や同僚について学ぶことができるのです」

客観性

 公平性の専門家に職場の方針を評価してもらう。プロフェッショナリズムは(白人至上主義などを背景にした)人種に基づく構成概念になってしまっているため、外見やプロフェッショナリズムに関する企業の方針を再評価し、制度に客観性を持たせることが重要だ。産業組織心理学者のマイア・ウィリアムズは、職場の方針を見直すことが、毛髪に対する偏見を軽減する効果的な方法であると述べている。「組織は、毛髪やヘアスタイルに関する特定の方針や規則を持つことができ、それが特定の保護特性を持つ従業員に対する違法な間接的差別につながる可能性がある」と彼女は指摘する。

 職場の意思決定における主観性をどのようにして軽減できるだろうか。採用と昇進のプロセスの両方に調査システムや規定を導入し、従業員や従業員候補が、職務と無関係な尺度ではなく、コアコンピテンシーに基づいて評価されるようにしなければならない。職場の方針が差別的影響をもたらさないようにすることも重要だ。

* * *

 毛髪に基づく差別は、黒人女性の職場体験に影響を与える大きな問題であり続けている。あらゆる種類の偏見と同様に、最も影響を受けている人々の経験を中心に据えた会話を続けることが重要であり、同時に、すべての従業員、特に意思決定やリーダーシップの権限を持つ従業員に対する継続的な教育が必要だ。


"How Hair Discrimination Affects Black Women at Work," HBR.org, May 10, 2023.