身体活動を増やす方法

 あなたは、リモートワークが始まって、以前に比べて体を動かさなくなったと感じていないだろうか。もしそのように感じているのであれば、以下を参考にしてほしい。研究によると、身体活動を増やしてさまざまな恩恵に浴するために有効な方法が3つある。

毎日、身体活動を行う習慣を育む

 実践する価値がある物事はすべて、時間をかけるだけの価値がある。身体活動を行ってすぐに仕事上の恩恵が表れなかったとしても、落胆すべきではない。筆者らの研究では、身体活動が翌日に恩恵を生むケースについて調べた。すると、身体活動には、仕事のパフォーマンスと健康に好影響をもたらすリソースを大幅に増やす作用があることが明らかになった。日々、新しい健康的な習慣を形づくることに集中しよう。そうすれば、やがて結果はついてくる。

短時間の運動でも、まったく運動しないよりは好ましい

 私たちは、しばしば口実をつくって身体活動をやめてしまう。疲れている、お腹が空いている、ストレスを感じている、忙しい……といった具合だ。この落とし穴に陥りがちだという点では、筆者らも例外ではない。しかし、筆者らの研究は、「少しの身体活動であっても、まったく行わないよりは好ましい」というWHOの見解を裏づけている。

 WHOは、健康上の恩恵を実現し、運動不足による健康上の悪影響を最小化するために、18~64歳の人たちに対して週に2.5時間以上の中強度の運動、もしくは1.25時間以上の高強度の運動を行うよう推奨している。

 筆者らの研究によると、中強度の運動は、肉体的・情緒的・認知的リソースを生み出すうえで最も効果が大きい。低強度の身体活動は、リソースを増やす効果を得るためには長時間行わなくてはならず、高強度の身体活動は、けがにつながりやすい。中強度の身体活動のほうが多くの人にとって実践しやすいといえるだろう。しかも、筆者らの研究では、1日20分くらいの短時間の身体活動を行うだけでも、翌日に仕事のパフォーマンスと健康状態を改善する役に立つリソースが生み出されるとわかっている。

モチベーションの有無に関係なく、前に進むべし

 筆者らの研究によると、運動が嫌いな人も、身体活動の恩恵に浴することができるとわかっている。その一方で、自律的モチベーションを持っている人は、身体活動に取り組む確率が高いことも明らかになっている。つまり、「楽しい」と感じることは、身体活動を後押しする重要な要素なのかもしれない。そこで、あまりつらいと感じず、楽しく実践できる活動を探そう。ブートキャンプの類いが自分に合わないのであれば、ハイキングやボクシングを試してみてはどうだろうか。運動をするはずだったけれど、ソファでのんびり過ごしたいという衝動に駆られた時は、20分でもよいので運動してみよう。

* * *

 もしいま、あなたがこれまで以上に仕事に精力的に取り組もうとしているのであれば、日々の活動の中に、もっと身体活動を織り込むよう努めよう。そうすれば、あなたの体は喜び、あなたの頭脳はエネルギーを増やし、課題への集中力を高め、創造性を向上させるというごほうびを用意してくれるだろう。


"To Improve Your Work Performance, Get Some Exercise," HBR.org, May 30, 2023.