あらゆる悩みは否認から生まれる

編集部(以下色文字):私たちは日々、さまざまなストレスに直面しています。誰の目にも明らかなストレスだけでなく、当人も自覚していない些細なストレスが、心身の健康に重大な影響を及ぼすと指摘されるようになりましたが、藤田さんは、この問題提起についてどのように考えますか。

藤田(以下略):ストレスというものに対するとらえ方の幅を広げて、その理解を深めようとすることには意義があると思います。ただし、ストレスに客観的な大小があるという考えになってしまうと、適切な対処はできないのではないでしょうか。

 たとえば、同じ室温の部屋にいても、暑いと感じる人もいれば、寒いと感じる人もいます。また、暑さや寒さをさほど気にしない人もいれば、体調不良を引き起こす人もいて、前者にとっては小さなストレスが、後者にとっては大きなストレスといえます。あるいは、最初は気にならなくても、積み重なるうちに不快感を覚えるようになることもあります。そのため、「何がストレスか」という客観的なとらえ方ではなく、「何をストレスに感じる私がいるか」と、自分の身に引きつけて考えることが、この課題と向き合う際の出発点なのだと思います。