
「今後もリモートワークは増加」と企業幹部も予想
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの期間に、リモートワークの普及がいっきに進んだ。米国においてリモートワークは、それまで総労働日数の約6%しか実践されていなかったが、2020年の春にはその割合が50%を突破した。しかし、それ以降、この割合は下落し続けており、2023年初頭以降は28%ほどで推移している。
多くの企業幹部は、そろそろオフィスへの出勤を再開すべき頃合いだと考えているようだ。金融大手JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモンは、リモートワークに懐疑的だと言ってはばからず、フェイスブックなどを運営するメタ・プラットフォームズCEOのマーク・ザッカーバーグも、働き手はオフィスで働くほうが「多くの仕事を成し遂げられる」と主張している。グーグルの最高人材責任者も最近、自社の従業員に対して、オフィスに出勤するかどうかを成績評価の際に考慮に入れる方針を示した。ビデオ会議システムを提供しているズームの経営陣ですら、自社の従業員が週に2日は出社することを望んでいる。
しかし、問題が一つだけある。企業の上級幹部たちですら、オフィスへの出勤再開を推し進めようとしてもうまくいかないだろうと考えているのだ。
アトランタ連邦準備銀行とシカゴ大学、スタンフォード大学が共同で実施している「事業不確実性調査」では、毎月、米国のさまざまな業種と地域のおよそ500社の企業幹部を対象に調査を行っている。
2023年7月の調査では、こう尋ねている。
「いまから5年後の2028年、あなたの会社のフルタイム従業員の勤務形態(完全出社、ハイブリッド、完全リモート)の割合はどのようになると思いますか」
以下の図表に示した通り、企業幹部たちは、ハイブリッドと完全リモートの両方の割合が今後も増加し続けると予想している。