
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
ハイブリッド型チームのよさを活かす方法
オフィスで働くメンバーとリモートで働くメンバーで構成されるハイブリッド型のチームでは、どのようなプロジェクトにも内在するリスクが増幅されやすい。プロジェクトの成功は、適切なチーム編成、目指す成果に関する共通理解、コミュニケーションルールの確立、そして会議の効果的運営にかかっている。ハイブリッドプロジェクトでは、これらがいっそう重要になると同時に、より困難になる。
全員の足並みを揃えるのがさらに難しくなる可能性がある。そして、直接会ったことのないメンバーがいるかもしれないし、デジタルツールやオンライン会議でしか連絡を取り合えないメンバーがいる場合もある。
ハイブリッドワークを熟知したプロジェクトマネジャーなら、こうした問題に対処し、混成チームの力学をプロジェクトに有利に働かせることもできる。実際、最近の研究では、ハイブリッドワークがチームの信頼と効果を高めるという結果も出ている。
筆者は、何十ものウェブ開発やコンテンツ制作のプロジェクトを運用し、ハイブリッドコラボレーションについて定期的に講演や執筆を行っている。また最近では、ネット上でハイブリッドプロジェクトについて投稿したプロジェクトマネジャーたちにコンタクトを取り、彼らの気づきを共有してもらった。こうした経験から、ハイブリッドワークがマイナスにではなく、プラスに働くようにするために配慮すべき3つの重要なポイントがあることがわかった。すなわち、プロジェクトの計画とキックオフのやり方、メンバー全員が使えるツールの準備、そして会議の活用法である。それぞれを順番に見ていこう。
成功するチームを立ち上げる
プロジェクトをどのようにキックオフするかは、ハイブリッドチームでは特に重要だ。なぜなら、チームメンバーが自分たちを一つのまとまったクルーだと考えるか、それともオフィスにいる「リアル」チームとそれを周回する「衛星」だと考えるかが、それによって決まるからだ。成功するチームづくりには、以下の点が重要である。
業務内容を考慮してチームを編成する
個人ベースの仕事が大半を占めるプロジェクトの場合は、場所に関係なく、その仕事を最も効率的かつ効果的に行える人材を選ぶ。業務の多くが密な共同作業になりそうな場合、特にその共同作業がリアルタイムで行われる必要がある場合は、同じ(または近い)タイムゾーンや、同じオフィスにいるメンバーでチームを組み立てる。働く場所に関係なく、スキルや専門知識のみに基づいてプロジェクトメンバーを選ぶような、リモートフレンドリーになった企業で働いている人は、少し意識の転換が必要かもしれない。
一方、メンバーからメンバーへと個人のタスクを引き継いでいくようなプロジェクトでは、時差が有利に働くこともある。アリッサ・ゲスルマンという女性は、クライアントである通信会社の技術プロジェクトを率いた時、完全リモートのグローバルチームからのプロジェクトアップデートが遅い、とクライアントのハイブリッドチームから急かされた。そこで彼女は、時差を活かすようなコミュニケーションプロセスに変更し、チーム内の引き継ぎを早めることで、クライアントに早くウィークリーの最新情報を提供できるようになった。
諸条件と期待値を明確にする
ハイブリッド型のプロジェクトチームを運営する場合、さらに重要になるのが、プロジェクトの目標、期限、制約、メッセージングやメールで共有する内容、ライブ会議が必要な内容、時間外連絡が必要な真の緊急事態について、確実に明確にしておくことである。
最初に期待事項を設定し、チーム内コミュニケーションに焦点を当てた定期的なチェックインを計画する。このようなルールは、更新しやすい形で文書化しておき、一人のための細かい説明が、チーム全体にとっての説明にもなるようにする。
アトランタを拠点とするイベントプロジェクトマネジャーのオリビア・ミッチェル・ラッセルは、長年のチームメンバーと超短期の委託者が混在するプロジェクトを運営する場合、会議でカメラをオンにするかどうかといった問題を含め、期待値を設定するプロセスが特に重要だと感じたという。
全員がツールを使う
どのようなプロジェクトでも、コラボレーションツールは役に立つが、ハイブリッドプロジェクトの場合は、それが共通のワークスペースになる。2005年に実施され、影響の大きかった、インテルにおけるバーチャルチームワークに関する調査に遡ると、共通のデジタルワークツールを選び、それを一貫して使用することがハイブリッドチームの成功の一因になっていることがわかった。ハイブリッドプロジェクトを効果的に推進するデジタル環境には、以下が必要である。
ツール活用に消極的なメンバーも取り込む
メンバーに新しいソフトウェアプラットフォームを使わせるのは難しい場合もあるが、ハイブリッドチームで仕事をするのであれば、使用に消極的なメンバーが数人いるからといって、思い留まるわけにはいかない。分散型プロジェクトには、タスクの集中管理、グループメッセージング、オンライン会議、文書の一括保管場所を提供するオンラインツールが実質的に必要になる。
また、バーチャルホワイトボーディング、ライブドキュメントコラボレーションなどのツールも活用すべきかもしれない。目標は、仕事を遂行するために必要な最小限のツールを選び、研修や資料を提供して、必要なプラットフォームの学習をサポートし、プロジェクトの最初から最後まで同じツールを使い続けることである。
使い慣れないソフトウェアへの抵抗を払拭し、チームにツールキットを積極的に活用させる一つの方法は、一緒にツールを選ぶことである。ソフトウェア開発のクリーテックでプロジェクトマネジャーを務めるアレハンドロ・フェレイラは、各プロジェクトに使用するツールを選ぶ際に、チームを巻き込むようにしている。同社では、コロナ以前はリモートで働く従業員がいなかったため、分散型チームで取り組んだ最初のプロジェクトでは、対面で仕事をしなくなったことによって薄れた帰属意識を取り戻す一環として、プロジェクトツール選びのプロセスを採用した。
開発者で構成される彼のチームに、投票によって好きなツールを選ばせると、少なくとも何人かは使い慣れているツールを選ぶため、必ず誰かは他のメンバーにちょっとしたレクチャーを行うことができるのだ。
個人の選択も認める
全員で使うツールと個別に使うツールを区別する。文書作成のような共同作業に使用するツールを指定(または投票によって選定)することは非常に重要だが、一人で作業するものについては、各自がツールを選べるようにする。単独で取り組んでいるタスクのコラボレーションツールについて合意する必要はない。