タイムボクシングとプロジェクトマネジメントの共通点

 プロジェクトマネジメントのゴールは、チームが合意した時間内に目標を達成したり、問題を解決したりすることだ。タイムボクシングは、まさにそれを個人が達成できるようにする。タイムボクシングとプロジェクトマネジメントには、顕著な共通点がある。

・見積もりと予測。タイムボクシングは、個人がタスクにかかる時間と、その日(またはその週)に達成できるタスクの量を見積もる必要がある。プロジェクトマネジャーは、依存関係、納期、リスク、商業的な現実を考慮しながら、プロジェクトの期間を見積もらなければならない。

・範囲、時間、コスト。タイムボクシングはこれらの要素すべてを含む。範囲はタスクの内容であり、時間はタスクにどれだけかかるか、コストは「関わる人の数(通常は1人)×日当×タイムボクシングの期間」だ。プロジェクトマネジメントでは、この3つの項目は「プロジェクトマネジメントのトライアングル」と呼ばれ、すべてのプロジェクトの基本的な検討事項である。

・優先順位付け。期限と依存関係を理解し、それに従ってタスクを命じ、適切な場合には、(正当な理由とともに)「ノー」と言うことがタイムボクシングとプロジェクトマネジメントの両方において不可欠な要素だ。ピーター・ドラッカーが1963年に鳴らしたこの警鐘「やるべきでないことを効率よくやることほど無駄なことはない」は、現在にも通用する。

・調和の取れたコラボレーション。タイムボクシングでは、オンラインカレンダーを共有することで、あなたがいつ、何をしているかを同僚に知らせることができ、場合によってはあなたの期待や能力の制約の背景も伝わる。プロジェクトマネジメントでは、コミュニケーションとステークホルダーのマネジメントは、事業を成功させるために不可欠な人的側面だ。

 小さい個人的な規模での成功が、あなたを優れたプロジェクトマネジャーにする。プロジェクトを経験すれば、あなたはより優れたタイムボクサーになる。

タイムボクシングを学習する

 あなたはすでに、少しはタイムボクシングを実践しているだろう。ミーティングをしたり、仕事の計画を立てたりしているはずだ。これまで見てきたように、(何らかの形で私たちがすでに行っている)プロジェクトマネジメントにおいて、あなたのスキルはタイムボクシングの本質と実践に密接に関連している。しかし、自分自身のオンラインカレンダーに特別な注意を払うことで、能力を急速に高めることができる。

 以下を試してみてほしい。ToDoリストの中から、長い間手をつけずに残っている簡単な項目を一つ選ぶ。それを30分か60分の枠でカレンダーに追加する。その項目に関心のある人とカレンダーを共有し、それをやり遂げるためにやや相互的な社会的プレッシャーを与える。予定を入れたら真剣に取り組み、必ず遂行する。このやり方がうまくいったかを振り返り、さらに別のToDoリストの項目2、3件についても同じことを繰り返す。

学習のためのタイムボクシング

 タイムボクシングは、プロジェクトマネジメントにとって特に重要なスキルであるだけではない。プロジェクトマネジャーの持つ別のツールを磨く手段でもある。設計上、この方法では、過密なスケジュールの中でも「集中的な学習」に使える期間(時間のボックス)を確保する。

 学習という行為は、「アイゼンハワー・マトリックス」の「重要だが緊急ではない」象限の中心に位置する。そのため、そこからスケジュールを捻出するシステムがなければ、学習は繰り返し先送りされてしまう。

 企業の学習システムへの従業員の参加率が低いことは知られており、それに対処するため、1時間の選択的な学習時間を従業員に提供する雇用主もいる。もしあなたの雇用主がそうなら、その時間をタイムボクシングによって使うべきだ。あなたの雇用主がそうでないなら、個人的に時間を確保する(そしてそのアイデアを雇用主に提案する)。週に1時間は、会社にとっては非常に小さな投資(労働時間の2~3%)だが、個人にとって、そして雇用主にとっても、その複合的な効果は計り知れない。

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 現代の仕事は、本質的にプロジェクトベースで、協働的だ。タイムボクシングをマスターすることは、プロジェクトマネジャーだけでなく、すべての人にとって、意図と実行のギャップを埋める入り口となる。この重要なスキルを身につけて、生産性を向上させ、プロジェクトに変革的なインパクトを与えよう。


"Project Managers, Unlock the Power of Timeboxing," HBR.org, October 23, 2023.