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専門家とアマチュアの境目がなくなる時代
2022年、ジェイソン・アレンはコロラド州の展覧会(コロラド・ステート・フェア)で新進デジタルアーティスト部門の最優秀賞を受賞し、ブルーリボン賞や300ドルの小切手以上のものを手にすることになった。ゲーム会社インカーネート・ゲームズの社長であるアレンは、ミッドジャーニーという生成AI(人工知能)ツールを使って、Théâtred'Opéra Spatial(フランス語で「宇宙のオペラ劇場」)という作品を制作していたのである。
修正に2週間を要したというが、アレンがプロンプトを入力すると、数秒で作品のデザインができ上がったという(アレンが使用した正確なプロンプトは明らかにされていない)。アーティストや批評家たちは、『アトランティック』誌や『ニューヨーク・タイムズ』紙などで、アレンの受賞に対する不満を爆発させた。チャットGPT、ダリ、バードのように、技術的(そして芸術的)に初心者でも、自動的かつほぼ瞬時に魅力的な文章や画像、動画を生成できる新しい生成AIツールの影響力に警告を発したのだ。
しかし、こういったツールによる自分の専門分野への影響を懸念しているのは、アーティストだけではない。IT専門家も注目している。生成AIを活用すれば、コーディングの知識のない従業員でも熟練したプログラマー、いわゆるシチズンデベロッパー(市民開発者)になれる。非技術系の従業員であっても、生成AIツールとの共同作業により、プロンプトにほしいものを記述するだけで、ごく最近まで高度なプログラミング能力が要求された完全な形としてアプリケーションを構築できるのだ。