生成AIを導入する難しさ

 いまやデジタル・トランスフォーメーション(DX)は、多くの組織にとって不可欠なものとなった。しかし、実際にDXを推進するとなると、日々変化する状況を追いかけ続けなければならない。新しい技術がたえず現れるため、どれが問題を起こす可能性があるのか、または単に見かけ倒しのものなのか、常に見極めや判断を迫られる。適切な技術を選択し、実装が済んだ後でさえ、それを管理するのは気が重い仕事となる。

 生成AI(人工知能)は、まさにその一例だ。テクノロジーの専門家は以前から生成AIの存在を認識していたものの、チャットGPTが2022年11月に登場して以降は、一般の人々の注目も集めるようになった。インサイダーインテリジェンスによると、2025年までに生成AIのユーザー数は7780万になると予測されている。これはタブレットやスマートフォンの普及率の2倍以上のペースだという。

 スイスのビジネススクールIMDに世界中のCEOが集結した最近の会合でも、生成AIが話題の中心となった。議論の中で、この技術に投資する必要性をCEOらが認めた一方、最適な利用法を考え、責任を持って展開することの大切さが力説された。