すべての部門が独自の戦略を持つべき3つの理由
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サマリー:企業戦略は、経営幹部が作成するもので、各部門は実行さえすればよいという考えに陥りがちだ。しかし、実際はそうではなく、各部門が成功のビジョンを独自に確立する必要がある。本稿では、戦略が自分たちの担当分野... もっと見るにとって何を意味するのかを各部門が明らかにし、その実現方法を定義することでもたらされる、3つの重要な利点を解説する。 閉じる

戦略の成否は「実行」だけで決まるわけではない

 理論的に言えば、企業戦略は経営幹部が策定して、各部門のマネジャーがそれを実行に移すものだ。だが、実際は、そこまで役割が明確に分かれているわけではない。よく知られている通り、戦略策定の目的は企業が目標を達成する方法を大まかに示すことであり、その成否は戦略がいかにうまく行動に移されるかにかかっている。だが、こうした実行部分は各部門に任されているため、戦略が間違った形で実行に変換される危険性は常に存在する。したがって、失敗に終わった時、その責任が誰に帰するのかが問題になる。

 残念ながら、リーダーはすべての「戦略」には目標が織り込み済みで、各部門は戦略を拡大する必要はなく、実行さえすればよいと考えがちだ。各部門の取り組みが企業目標と一致しなかったり、目標の達成や成長につながらなかったりした時、戦略が正しく解釈されていなかったからではなく、実行に問題があったに違いないという考えが支配的になる。

 しかし、たいていのハイレベルな企業戦略は、アクションに移す方法が何百通りもある。たとえば「優れた顧客サービスを通じて差別化を図る」という企業戦略には、誰も異論がないだろうが、「優れたサービス」とは何なのか。これまでにない方法でやるべきことは何なのか。継続すべきアクションはどれで、拡張したり、廃止したりすべきアクションはどれなのか。そして、どのように実行するのか。

 こうした重要な点が不明確だと、各部門はユニークで、差別化につながるイノベーティブな目標達成方法を検討するのではなく、使い古された、お馴染みの戦術に飛びつくことになる。そうではなく、各部門が成功のビジョンを独自に確立する必要がある。その戦略が自分たちの担当分野にとって何を意味するのかを各部門が明らかにし、その実現方法を定義できるようにすると、3つの重要な利点がもたらされる。