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長期的な成功を見据えた「再生」を目指す変革
「前回の変革プランは捨ててしまおう。いま必要とされているのは、新しいプランだ」
ビジネスリーダーは往々にして、ビジネス界の最新トレンドに乗ろうとして組織を振り回してしまう。ビジネスリーダーたちは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックへの対応が不可欠だと言っていたかと思えば、少し時間が経つと、今度はサプライチェーンの最適化を主張していたりする。そして、いま最新のトレンドがAI(人工知能)関連の戦略策定だ。ただし、その一方でESG(環境、社会、ガバナンス)重視の取り組みを忘れることも許されない。
もし変革の終着点が永遠に訪れず、しかも変革を目指す取り組みの大多数が失敗に終わることを考えると、「ビジネス・トランスフォーメーション」という考え方そのものがもはや時代遅れなのだろうか。
この問いに対する答えは、もしかすると自然界にあるかもしれない。チャールズ・ダーウィンによれば、生物の種の適応はその性格上、突発的に起きるわけではなく、生態系との調和の下、進化の過程を経て徐々に進む。それは、過酷な状況を経験した後で元の状態へと回復する「レジリエンス」のプロセスというより、新たに生まれ変わる「再生」のプロセスという性格が強い。
これをビジネスの世界に当てはめて考えると、再生を目指す変革とは、企業の事業活動および業績と、その企業が活動する環境──つまり、人間と場所、組織によって構成されるエコシステム(生態系)──を、より調和の取れた形で結びつける試みといえる。





