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納得できない決定を伝えるための6つの戦略
最近、テイラー(仮名)から話をしたいと電話があった。あるクライアント企業のハイポテンシャルプログラムの一環で、筆者がコーチングをした幹部である。彼は怒っていた。自分が2年間、指揮を執ってきたプロジェクトの資金が、市場の逆風を理由にカットされることになったという。上司からは、プロジェクトの進捗状況や彼のリーダーシップとは何の関係もなく、純粋に「避けられない苦渋の決断」だったと言われた。
テイラーはそのことを自分のチームに話さなければならなかった。彼が私に投げかけたこの質問に、彼の最大の憤りが表れていた。「なぜ戦略的な重要度が低く、メンバーみずから『金の無駄遣い』と呼んでいるような低迷中の別のプロジェクトは予算がカットされなかったのか、これについてどう説明しろと言うのでしょう」
テイラーは、自分が納得していない上司の決定をチームに伝えなければならないという、管理職が必ず一度は直面する難問に陥っていた。
管理職をしていると、決定権者に代わって「旗を揚げる」のが嫌な時も当然出てくる。だがそれも仕事の一つだ。道徳や法、倫理に反する決定や行動は論外だが、自分の意にそぐわない決定を支持することは、リーダーとして最も困難なことの一つだろう。それを首尾良く行うには、周到な準備が必要だ。納得できない決定を伝えなければならない時に用いる6つの戦略を以下に紹介しよう。
まず自分の感情をコントロールする
チームがその決定を聞いたら動揺するに違いないことを知っていながら、気持ちが昂ったまま対話に臨み、事態を悪化させるリスクは避けたい。恨みの感情を抑えて、冷静に決定を伝える必要がある。ロボットのように無感情になる必要はない。だが、自分の感情を認めることと、それをそのまま表すこととは違う。本心では、「こんなことをするなんて、トップは間違っています」などと言いたいかもしれないが、このように言う。「無念な気持ちはよくわかります」