中国が世界経済の圧倒的リーダーにはならない6つの理由
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サマリー:2020年の「フォーチュン・グローバル500」にランクインした中国企業の数が、米国企業を抜きトップに立った。しかし、2023年のランキングでは米国が再びトップに返り咲いた。中国経済は成長が続くと見られる一方、長... もっと見る期にわたりこのランキングでトップの座を維持することは難しいと、筆者らは予測する。本稿では、中国が「フォーチュン・グローバル500」の最大勢力の座を奪い返す可能性は低いと予想できる理由を6つ紹介する。 閉じる

中国は成長しても、米国からトップの座を奪い返せない

 筆者らは2019年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)に寄稿した論文で、世界の企業売上高ランキング「フォーチュン・グローバル500」にランクインする企業を国別に見た場合、やがて中国がトップに立つ可能性が高いという予測を示した。当時としては、ずいぶん大胆な予測に思えたに違いない。何しろ、1995年にこのランキングが現在の形で公表されるようになって以降、2019年までの間、米国企業がずっと最大勢力であり続けていたし、この時点での経済規模でも米国が中国の1.5倍に達していたからだ。

 しかし、この論文を寄稿してわずか1年後の2020年、ランクインする企業の数で中国が米国を抜いてトップに躍り出た。2020年の500社リストに含まれていた中国企業の数は124社で、米国企業の121社を上回ったのだ(「フォーチュン・グローバル500」のデータはこちらを参照)。

 その一方で、筆者らは2019年の論文で、中国がトップに立つ期間が長くは続かないだろうという予測も示していた。こちらの予測は2023年、現実になった。米国が再びトップに返り咲いたのである。2023年のランキングでは、米国企業が136社だったのに対し、中国企業は135社だった。

 中国が3年間にわたりトップを守り、米国がその座を奪い返したという事実だけを見れば、2大経済大国のデッドヒートが当分続きそうだと感じるかもしれない。しかし、筆者らは、そうは考えていない。中国経済が成長していることは間違いないが(実際、2019年から2023年の間に、500社リストに載る中国企業の数は11社増えている)、中国が「フォーチュン・グローバル500」の最大勢力の座を奪い返す可能性は低いと予想できるのだ。その理由は、以下に記すように6つある。

米国企業のファンダメンタルズは強力である

 1995年から2019年までの間、米国はほかのどの国よりも多くの企業をこのリストにランクインさせてきただけではない。500社に占める米国企業の割合は、米国経済が世界経済に占める割合よりも大きかった。この一点をもっても、米国企業の活力が強いことは明らかだ。