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個人的な考えの深い部分で相違がある時、どうするか
2023年の社会的・政治的情勢の混乱は2024年にまで波及し、米国大統領選挙が近づくにつれて、ビジネスリーダーは複雑な状況に直面している。選挙運動における辛辣な言葉の応酬はすでに始まっており、それが職場やチームに何をもたらすのかと不安になるリーダーは少なくない。
あなたがマネジャーで、チーム内の緊張を予測している(またはすでに目にしている)としよう。チームがその状況を切り抜けるための手助けをするというリーダーとしての役割に自信を持てずにいるとしたら、その不安はけっして見当違いなものではない。チームの不和は生産性や仕事の質を低下させ、メンバーの間に不健全な対立を生むことがある。ガートナーの調査によると米国の従業員の36%が、2020年大統領選挙の話題をきっかけに、政治的信条の違いから同僚と話したり一緒に仕事をしたりするのを避けるようになったと報告している。選挙の翌年、2021年のSHRM(米国人材マネジメント協会)の調査でも、47%の企業が最も大きな問題の一つとして政治的意見の相違を挙げている。
深い部分で個人的な考えに違いがある時に、対立する意見を生産的に交わし合いながら互いに尊敬し合える環境をつくることは、そう簡単ではない。扱いの難しい意見をあなた自身が持っていることもあるだろう。そのような場合、チームのダイナミクスを崩すことなく、どれだけ個人的意見を共有できるかとなると、なおさら一筋縄ではいかない。
外的な力が分極化を引き起こそうとする時にチームの結束を保つことは、不可能ではない。ただし、それには事前の準備と管理職としての勇気が必要である。本稿の執筆者であるカルッチは組織コンサルタントとして、メールはNPOコンストラクティブ・ダイアログ・インスティテュートのエグゼクティブディレクターとして、組織がこうした困難を乗り越えるための支援をしてきた。その中で、対立があってもレジリエンスのある文化を形成するための有効な方法を、組織が実践する様子を見てきた。本稿では、どのように始めればよいか、説明しよう。
意見表明の基本原則をチームとともにつくる
活動を破綻させず、チームに生産的な対話をさせるための最善策の一つは、何がよいことかについて、境界線を設定することである。開かれた意見交換が集団思考を緩和し、意思決定を向上させ、創造性やイノベーションを高めることを説明して、多様な見解をサポートする環境をつくる必要性を論証してもよいだろう。また、さまざまな意見を表明できる場所をつくることはインクルージョンの前進になることを説明して、この作業を多様性やインクルージョン、帰属意識についての組織の価値観や取り組みと結びつけることもできるだろう。