ビジネス課題を意思決定プロセスの課題と捉え直そう
iStock/MF3d
サマリー:大半のビジネス課題は、意思決定プロセスの課題に捉え直すことができる。自身が抱えているビジネス課題についても、「意思決定プロセスに課題がある」という意識を持つことで、解くべき課題が何か見えてくるはずだ。... もっと見る本稿は、データ分析の第一人者である河本薫氏による『データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考』(ダイヤモンド社)の一部を抜粋し、紹介したものである。 閉じる

すべてのビジネス課題は
意思決定プロセスの課題に捉え直せる

 ここまで読み進まれたら、気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。「意思決定プロセスがまずいからビジネスの問題が生じる」ならば、「意思決定プロセスを改めればビジネスの問題は解消する」ということです。すなわち、ビジネスの問題を解消するための課題は、意思決定プロセスにあるということです。

 別の見方をすれば、すべての課題は、突き詰めると、意思決定プロセスの課題に帰着するということです。例えば、「融資審査の厳格化」という課題は、「融資判断の意思決定プロセスの高精度化」に帰着するでしょう。「在庫管理を適正化する」という課題は、「発注量を決める意思決定プロセスの高精度化」に帰着するでしょう。

 もちろん、意思決定プロセスの課題は「高精度化」だけではありません。「高速化」や「マニュアル化」、「効率化」、「自動化」など様々な課題の形があります。

 例えば、「保険金支払い手続きの迅速化」という課題は、「保険金支払い金額の意思決定プロセスの高速化」に帰着するでしょう。「工場操業の属人性解消」という課題は、「工場操業の意思決定プロセスのマニュアル化」に帰着するでしょう。「出荷品の検品作業の人件費低減」という課題は、「検品の合否判断の意思決定プロセスの自動化」に帰着するでしょう。「不良品の原因を解明」するという課題は、「不良品の原因を特定する意思決定プロセスの厳密化」に帰着するでしょう。

 そもそも意思決定ができていない場合には、「意思決定プロセスを作ること」が課題になります。図表1-3は、以上の例を整理したものです。

拡大する
図表1-3

 このように、大半のビジネス課題は、意思決定プロセスの課題に捉え直すことができると思います。あなたも、ご自身が抱えているビジネス課題について、意思決定プロセスの課題として捉え直してみてください。