新しい環境で成功するために必要なものは何か

 私たちが成功を収めるには、ほとんどの場合、新しい状況に身を置く必要がある。キャリアを磨くために新たな職務に就き、新しい組織に加わり、別の拠点に異動し、新しい顧客やサプライヤー、同業者と出会って関係を築いていかなければならない。

 そのような状況にいかにうまく対処するかについて、企業幹部たちはたくさんのアドバイスを受ける。新しく入社する場合は、自分の目標や責任についてあらかじめ交渉しておくべきだ。昇進して新たにリーダーとなったのなら、早期に成果を上げて信頼関係と影響力を確立しなければならない。駐在員として海外に赴任するならば、新しい国とその文化を学ぶべきである。新たに会議のメンバーとなり、そこで人脈を築きたいと思うならば、交流を望む相手のリストを念頭に会議に臨まなければならない。

 どれもよい方法だ。しかし、企業幹部やMBAの学生を20年余り研究し、教え、助言してきた中で、筆者はあることに気づいた。私たちの多くが新しい状況で直面する課題とは、もっとずっと根本的なものなのだ。驚くほど多くのビジネスパーソンたちが、人と知り合うための基本的だが極めて重要な3つのスキルを習得していないために、最善を尽くせていない。その3つのスキルとは、「自己紹介する」「相手の名前を覚える」「質問する」である。