みずからの体験を通してパーパスを考える時代へ

編集部(以下色文字):世の中の不確実性が高まる中、個人がキャリアを考える際に、かつてのようにロールモデルを意識したり、収入や地位といった外的要因を動機付けにしたりする意味合いが薄まっています。こうした時代の変化を受けて、竹内先生が長年、教鞭を執られていたハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の学生のキャリアやそれに対する考え方はどう変わってきましたか。

竹内(以下略):HBSが掲げる「世界を変えるリーダーを育成する」というミッションは変わらないままですが、この数十年で、学生の卒業後のキャリアは激変しています。

 私がHBSで初めて教え始めた1976年頃、彼らの多くは非常に大企業志向で、IBMやゼネラル・エレクトリック(GE)といった大企業に就職していきました。彼らが第1フェーズの学生とすれば、少し時代が下った第2フェーズの卒業生の多くは、投資銀行やコンサルティングファームといったプロフェッショナルサービスファームで働くことを選択しました。