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挫折の経験
ブライアンは勤めていた会社の有望株だった。複数の上級管理職を歴任後、すぐにCEO直属の事業部門長に抜擢された。しかし、目覚ましい財務実績を上げていたにもかかわらず、着任後2年ほどで上司から突然解雇を言い渡された。当時、その会社は従業員との対話を重視する、よりオープンでグローバルな企業を目指していた。彼の攻撃的なリーダーシップスタイルはその価値観にそぐわないと告げられたのだ。
キャリアの挫折に直面したことのある多くの野心的なマネジャーと同様に、ブライアンも衝撃と現実否認、自己不信の時期を経験した。何しろ彼は、それまで仕事でつまずいたことがなかったのだ。自分が思っていたほど優秀な人材ではなかったという現実を、なかなか受け入れられなかった。また、自身の実力を証明する機会を与えてくれなかった上司にいら立ち、腹を立てた。だが、最終的には決定を覆せないと悟り、前に進むことを選んだ。彼の下で働いていた部下は誰も解雇の決定に異議を唱えなかったため、今後はどうすれば部下の忠誠心を育めるのかを知りたいという気持ちが特に強くなっていた。
数カ月も経たないうちに、産業機械部品の大手メーカーが、ブライアンの財務目標を達成する卓越した能力に感銘を受け、ある部門の責任者として彼を指名した。前職と比べればステップダウンだったが、彼は引き受けることに決めた。さまざまな働き方やリーダーシップスタイルを試すことで、自分の感情をうまく制御しながらチームを束ねる方法を身につけられると思ったのだ。