キャリアチェンジを阻む壁

 転職を考えているのは、あなただけではない。現在の雇用情勢を考えてみても、一斉解雇が横行し、ベンチャーキャピタルの取引も停滞している。管理職の間では、燃え尽き症候群が世界的に増加している。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートは、生成AI(人工知能)の進歩により、2030年までに1200万人に職業転換が起こると予測している[注1]。新型コロナウイルス感染症の流行とそれに続く経済的・政治的変動によって、大勢の人がみずからの選択を振り返り、変化を求めるようになった。

 しかし、変化を求めているにもかかわらず、いきなり新しい仕事に移ることなど不可能だと思っている人は多い[注2]。それはなぜだろうか。そして、どうしたら可能になるのだろうか。

 それを探るために、筆者らは、2つのウェビナー(筆者の一人、イバーラが配信)を受講した950人以上のビジネススクール卒業生を対象に、キャリアチェンジの方法について調査を行った。2020年に実施した最初の調査では、キャリアチェンジの障壁について自由回答形式の質問をし、回答をカテゴリーに分類した。2023年に実施した2回目の調査では、分類したカテゴリーについて多肢選択式の質問を行い、また何がキャリアチェンジを可能にするのかに関する質問を追加した。そして、チャットGPT-4を使って、2020年の障壁に関する自由形式の回答をより体系的に分類した。これらの分析から、何が難しく、何が役立つのかを導き出した。