
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
ジョブホッパーは低評価を受けやすい
先月、友人とコーヒーを飲みながら話していた時に、人事の世界でよく使われる表現として、「フリークエント・アプライヤー」(頻繁な応募者)という用語を教えてもらった。この友人(ここではジョイと呼ぼう)はワシントンDCに本拠を置くコンサルティング企業の採用責任者で、彼女の元には、短期間で複数の職を渡り歩き、次々に新たな職に応募する「フリークエント・アプライヤー」の履歴書が多数届くという。一般的には「ジョブホッピング」という表現で知られる行為である。
「何十年も同じ仕事を続けてきた候補者に比べて、フリークエント・アプライヤーは低い評価を受けやすい」と、彼女は語った。「ジョブホッピングは職場での忠誠心の欠如の表れだから」
シカゴに拠点を置く人材紹介会社のCEOも、ジョイと同じ意見のようだ。このCEOは先日、『ニューヨーク・タイムズ』紙に、フリークエント・アプライヤーの応募者に対し、「雇用主は意思決定能力や判断力に疑いを持ち始める」と語った。
ジョブホッピングの何が問題なのか
ジョイと話してから数週間、その時の会話が頭から離れなかった。私自身も、かつてジョブホッパーだったからだ。私は27歳になる前に、4つの会社で4つの職務を経験していた。自分の価値観に合致し、職場で幸せを感じられる仕事に出会うまでに、それだけの年月を要したのだ。
自分の意思決定能力や判断力に問題があると思ったことは一度もなく、むしろ、自身のウェルビーイングを優先できる能力は自分の強みだと思っていた。ジョブホッピングは、私にとって健康面でも経済面でもメリットのある合理的な選択だった。同じ職に留まる人の平均昇給率が5.9%なのに対し、ジョブホッパーは平均8.5%の昇給率を確保している。
この10年間で、特に若い世代の間でジョブホッピングが増加している。Z世代は、キャリアの中で少なくとも3回は転職する計画を持っており、これはどの世代よりも多い。現在の雇用主の下で4年以上働き続ける予定の人はわずか13%で、83%は自身を「ジョブホッパー」だと認めている。同じ仕事に長年留まる傾向がある年配の世代とは対照的だ。
こうした状況を見て、私の頭にある疑問が浮かんだ。ジョブホッピングが不名誉なものではなくなりつつあるのに、なぜ一部の採用担当者(やメディア)はミレニアル世代やZ世代を、「忠誠心が足りず、権利意識が強い」というステレオタイプで描き続けるのか。ジョブホッパーが求人に応募した際に低い評価を受けやすいという傾向は、彼らの転職の動機に問題がある、つまり、忠誠心が足りない、優柔不断、判断力に乏しい、という解釈を示唆している。こうした態度は、ジョブホッピングが否定的に見られがちだった時代の遺物だ。
ジョブホッピングの背景にある動機を詳しく見てみると、いくつかの要因が考えられる。新型コロナウイルスのパンデミック以降、多くの労働者──とりわけ新たに労働市場に参入した世代──にとって、ワークライフバランス、メンタルヘルス、柔軟な働き方、競争力のある給与が最重要課題となっている。筆者に言わせれば、彼らの「忠誠心の欠如」は、そうした条件の少なくともいくつかを満たす職場を見つけたいという欲求と、企業が約束を守らなかった時に説明責任を問いたいという思いに由来している。Z世代が「説明責任の世代」と呼ばれるのには、相応の理由があるのだ。