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今日のリーダーに不可欠なスキルを身につける
私たちの働き方は変わった。リーダーシップのあり方も変わった。
「20世紀の優れたリーダーとは、ビジョンと戦略を上から与える『質問に答えるリーダー』でした」と、リーダーシップ教育を専門に行うキャタライズ・アソシエイツの創業者、キルスティン・リンドは言う。「しかし、21世紀の優れたリーダーは、『質問するリーダー』です。フィードバックや新たな視点を求め、自分自身、チーム、環境について好奇心に満ちた質問を行うのです」
コロナ禍もリーダーシップのあり方に長期的かつ深刻な影響を与えた、とミシガン大学ロススクール・オブ・ビジネス教授で、行動科学者のジェフリー・サンチェス=バークスは指摘する。「大学入学、就職活動、管理職への就任、あるいは在宅勤務と子育ての両立など、ロックダウン中に置かれていた生活状況が、現在のその人を形成しています。リーダーは、こうした影響に目を向けて、チームのさまざまなニーズや課題に対応しなければなりません」
このような変化は、個人的なものに留まらない、とノースカロライナ大学チャペルヒル校ケナン=フラグラー・ビジネススクールの准教授で、組織行動学を担当するシマル・メルワニは言う。「AIによって大規模な技術的変化が起こっています。労働者は柔軟な働き方、目的意識、ワークライフバランスをますます求めるようになり、企業は価値観の二極化の時代を乗り切ろうとしています」
こうした変化を踏まえ、専門家たちは、今日のリーダーに不可欠な6つのスキルを取り上げ、それらを身につける方法について、実践的なアドバイスを提供している。
1. 「エモーショナル・アパチャー」(心のレンズの絞り)
この言葉は、サンチェス=バークスがつくった造語であり、従業員の感情の動きを理解し、それに気づく能力を意味する。「それは、周囲を読み、集団の雰囲気を把握し、チームの感情の状況を認識する力です」とサンチェス=バークスは言う。全員が同じ方向を向いているのか、無言の対立があるのか。結束しているのか、理解にギャップが見られるか。意見はすべて出し尽くされ、抜け落ちた視点はないか。
優れたリーダーは、そうした兆候を察知し、チームメンバーの情報処理方法、リスクの対処法、コミットメントの維持方法を深く理解する。この高い認識力により、人間関係が強化され、強い絆が育まれ、結果的に従業員の定着率やエンゲージメントが向上する。「豊富な情報源であり、従業員を長く会社に留め、深く関与してもらうのに役立ちます」
チームの感情の動きに気づくには
このスキルを磨くには、練習と意識的な努力が必要だとサンチェス=バークスは言う。そして、集団力学や集団感情に関するリソースを探すよう推奨している。また、チーム内のやり取りやそれに対する解釈を日記に書くなど、内省の練習によっても、徐々に意識を高めることができる。