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多くの人はキャリアチェンジが必要なわけではない
大きなキャリアチェンジが必要だと主張する筆者のクライアントの多くは、実際にはそれを必要としていない。あなたはどうだろう。本当に根本的なキャリアチェンジが必要なのか、それとも別の方法があるだろうか。
根本的なキャリアの転換には時間がかかり、その間も毎朝起きて、現在の仕事をこなさなければならない。筆者はクライアントと長期的なキャリア目標について取り組むと同時に、現在の状況を最適化している。多くの場合、この時間の長さと二重のプロセスが、クライアントのためになる。数カ月にわたってさまざまな行動を起こすと、多くのクライアントが自分が正しい職業に就いていることに気づく。問題はそこではなかったのだ。彼らが変える必要があったのは、自分のスキルや状況(新しい仕事)だった。筆者はクライアントに、結論を急がず、早い段階からさまざまな選択肢を検討するよう勧めている。
では、筆者のクライアント2人の例を見てみよう。その後に、あなたが同じようにキャリア上のジレンマに直面した場合に、意思決定に活用できるガイドラインを紹介する。
クライアント1:リンダの事例
リンダは獣医だが、初めて会った時にまず口にしたのは「もう疲れ果てた」という言葉だった。彼女は獣医を続けたいと思っておらず、根本的なキャリアチェンジが必要だと確信していた。最近の獣医の多くと同じように、彼女も燃え尽き(バーンアウトし)ており、幻滅していた。経済的な制約を考慮したうえで生死に関わる決断を下したり、助言に従わない顧客に対応したり、やる気がなく、複雑なこの仕事に見合った訓練を受けていないスタッフと働いたりすることに疲れ切っていた。仕事上の苦労に加え、家庭内もぎくしゃくしており、困難が増していた。
筆者とリンダは数カ月間、科学の教本の執筆、災害救援プログラムへの参加、臨床薬学の研究など、隣接する他のキャリアパスを模索した。それと並行して、職場における体験の最適化も行った。リンダは現在の職場で境界を定め、顧客の期待と実現可能なことのバランスを取ることや、スタッフに対してより明確かつ率直になることを学んだ。
新しいスキルと行動を習得すると、現在の仕事がより管理しやすくなった。リンダは、自分は動物を扱う仕事が好きなのだと認識した。職業自体は問題ではなかった。職場の人々とうまくやっていくために、新しいスキルが必要だったのだ。
ほどなくして、リンダは別の診療所で獣医として働き始めた。いまでは、働き方がより柔軟になり、娘と過ごす時間も増えている。リンダには、根本的なキャリアチェンジは必要ではなかった。
クライアント2:カルメンの事例
カルメンは会計士で、筆者がこれまでに出会った中でも最も陽気で、楽しく、エネルギッシュな人物の一人だ。彼女は人と接するのが好きで、さらに人と交流できる職業を求めていた。それに加えて、上司は一緒に仕事がやりにくい人で、彼女の会社は買収される過程にあった。