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新米マネジャーのよくある誤解
新米のリーダーは、すべてに答えられなければならないというプレッシャーを感じやすい。たとえば、筆者のクライアントであるフェリックスは、マネジャーに昇進したばかりだった。それまでは特定の分野の専門家として、常に一つか二つのプロジェクトを担当していた。彼の信頼性とスキルが評価され、多くのプロジェクトと人員を同時に監督するリーダーの役割を任されることになった。
フェリックスは筆者に、チームはいつも自分に判断を仰ぎ、明確な指示を求めると語った。彼はこの状況に応えたいと思っていたが、すべてのプロジェクトを隅々まで把握していないため、どうすればよいのかわからなかった。チームメンバーから質問されると、しばしば言葉に詰まり、間違ったことを言うのではないかと不安になった。
無理もないことだが、チームはフェリックスの緊張感を敏感に察していた。彼は何を言えばよいのかわからず、もっとよいパフォーマンスができない自分を責めていた。その結果、フェリックスもチームも戸惑い、不安な雰囲気に包まれていた。一部のメンバーはフェリックスを飛ばして、直接彼の上司に相談するようになった。
リーダーのコーチを務める筆者が最もよく耳にする誤解は、リーダーはすべての答えを知っていなければならないというものだ。しかし、それはマネジャーであることの現実からかけ離れている。
答えを持っていない時
マネジャーとしての仕事は複雑であり、その業務を行う環境も急速に変化している。チームを不確実な領域や未知の領域へと導く場面も多く、道しるべとなる地図は存在しない。だからこそ、優れたリーダーシップとは知識の多さではなく、知らない状況でどのように振る舞い、みずからをどう示すか、そして未知の領域をどう前進するかにかかっている。
それは、前例のないプロジェクトの計画を立てたり、チームが変化に対応できるようにサポートしたり、新しいアプローチを構想したりすることだ。また、予期せぬ事態に直面した時には、ただ一歩ずつ前に進むことが求められる。それがリーダーの役割である。
これは、現場担当者として常に答えを持っていたフェリックスのような人にとっては、大きな挑戦だった。彼の新しいリーダーとしての立場では、これまでとは異なる姿勢でチームに向き合うことが求められていた。すべての質問に答えることはできなかったが、それでもチームを失望させたくはなかった。
では、フェリックスの場合、何をもって成功といえるのだろうか。リーダーは、答えがわからない状況でも、どのようにしてチームを安心させ、適切に導くことができるのだろうか。