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時間管理ができないマネジャーが及ぼすマイナスの影響
「どうやって部下に惨めな思いをさせようか」などと考えながら、朝を迎える人はおそらくいないだろう。
ところがSHRM(人事業務に関する資格を提供)の調査によると、ワーカーの84%が「経験や知識の乏しいマネジャーは不必要な仕事やストレスを生み出す」と回答し、「時間管理と権限委譲」が「磨いてほしい能力」の上位3つのうちの1つに挙げられた。筆者が時間管理の指導を行っているクライアントを見ても、時間管理能力の低さは、管理能力の低さの大きな要因である。自分自身の時間を管理できない人は、結果的にチームに過度の負担を強いて、不要な緊急事態を起こし、必要なサポートを怠る傾向がある。
時間管理が苦手な人は、そのことによって、部下にマイナスの影響を及ぼしている可能性が高い。「いつも会議に10分遅れて来る人」とチームに冗談半分、諦め半分で言われるのはまだしも、度を過ぎれば部下を疲弊させる。筆者が時間管理について指導するクライアントの中にも、本人ではなく時間管理能力に問題のある上司のせいで、不安、抑鬱、高血圧、顎関節症、自己免疫疾患の発作などに悩む人もいた。
誠意を持って一生懸命働いていても、部下を疲弊させ、やる気を失わせている可能性はある。マネジャーであるあなたは、自分のためにもチームのためにも、自身の時間管理能力を改善する義務がある。それによって周囲のストレスが軽減するだけでなく、離職率の改善も期待できる。従業員の定着には、優れた上司の存在が不可欠だからだ。
本稿では、筆者が考えるマネジャーの時間管理における5つの問題点と、その克服法を挙げたい。どのような時でも成長し、自分を変えるチャンスがあるのだ。
問題点1:チームのキャパをまったく考えずに仕事を依頼する
マネジャーとして、チームメンバーに仕事を割り振り、任せるのは正しい。しかし、あるところまで来ると、メンバーのキャパシティに達するか、それを超えることになる。その限界点に気づけないと、チームに過度な負担を与えるリスクがあり、それが持続不可能な長時間労働や仕事の質の低下、場合によっては「どうせ失敗する」と感じたメンバーの無気力を招く可能性もある。