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AIエージェントが最終顧客へのアクセスを掌握する
AIエージェント──ユーザーに代わって行動する権限を与えられたアルゴリズム──は、ビジネスと消費者の環境を根本的に変え始めている。
その典型例として、少なくない数の消費者がグーグルを介さず、質問を理解して検索結果を集約するAIエージェントであるチャットGPTを使用して検索している。一部の専門家の予測では、チャットGPTは4年以内にグーグルに取って代わる可能性があるという。また他方面では、AIエージェントは従来のSEOとは無関係に、見込み客の新たな源泉となりつつある。
主流のプレーヤーたちが反撃に出るのは間違いないだろう。だがAIエージェントの急速な普及は、誰が価値を獲得するのか──特に、デジタル時代の聖杯である「最終顧客」を握るのは誰かという点に、極めて大きな影響を及ぼす。
商品検索の例で考えてみよう。従来であれば、見込み客はグーグルなどの検索エンジンにクエリを入力することから始めるかもしれない。商品レビューをクリックして買う物を決め、最安値で提供している小売業者を探し、最後に複数のステップから成る購入手続きを踏むだろう。
AIエージェントはすでに、このプロセスを変革している。いまではパープレキシティのようなAIポータルに、テスラに代わる最良の選択肢は何かを尋ねると、買うべき車についての提案、適切な製品レビューをもとにした長所と短所の要約、最適な購入先と価格へのリンクを提示してもらえる。まもなく取引処理まで遂行できるようになり、そうなればゲートキーパー(グーグル、アマゾン・ドットコムなど)やインフルエンサー(ブランド、インスタグラムの有名人など)による影響をほぼ完全に排除できる。
パープレキシティは、旅行手配やイベント計画などのアプリケーションを複数横断してタスクを実行するAIエージェントをリリースし、上記のようなタスクをある程度達成している。
これが、いま起きようとしている劇的な変化の最前線である。AIエージェントはすでにアプリに組み込まれ、すべての主要AIプレーヤー(オープンAI、クロード、グーグルなど)がエージェントを導入しているが、遂行できるのは主に単純なタスクだ。「保険契約を選ぶ手伝いをしてくれますか」「部品を顧客に届ける最善の配送方法を見つけてくれますか」といった質問を処理できる。そこからAIエージェントが購入や物流の最適化を完了できるようになるまで、あと一歩のところまで来ている。報道によればパープレキシティは、すでに購入手続きまで完了させているという。
AIエージェントへの移行によって仕事の進め方が変わり、誰が力を持つのかも変わる。なぜなら、最終顧客へのアクセスを掌握するのはAIエージェントだからだ。