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生成AIブームを追い風にした新王者
いま、世界的に注目を集めている企業の一つがエヌビディア(NVIDIA)です。エヌビディアは2024年7月に時価総額世界1位になると、その後アップルやマイクロソフトと抜きつ抜かれつを繰り返しながらも、依然として世界最高峰の時価総額を維持しています(図表1)。
これまで主にゲームなどで使われていたGPU(Graphics Processing Unit)の設計に強みを持つエヌビディアが世界屈指の時価総額を誇る企業に成長した理由としては、近年爆発的に普及している生成AIの影響が大きいといえます。実際、エヌビディアは生成AIなどのために使われるデータセンター向けのGPUにおいて、9割以上という圧倒的なシェアを有しています(図表2)。

出所:NVIDIA’s Strong AI GPU Portfolio & Future Releases To Retain Their King of The Hill Positioning Throughout 2024より筆者作成
また、エヌビディアは営業利益率も成長率も極めて高い水準にあります。2025年1月期の営業利益率は62%、売上高成長率も過去5年の平均で51%と高く、他の時価総額上位の企業と比較しても、その実力は圧倒的です(図表3)。

出所:各社のform10-kより筆者作成。それぞれの決算期は次のとおり。エヌビディア(2024年1月期)、マイクロソフト(2024年12月期)、メタプラットフォームズ(2024年12月期)、アップル(2024年9月期)、アルファベット(2024年12月期)、テスラ(2024年12月期)、アマゾン(2024年12月期)
これほどの強みを持つエヌビディアは、どこに競争優位性を持っているのでしょうか。同社はこの優位性を今後も持続させることができるのでしょうか。
そこで本稿から2回にわたり、エヌビディアの持つ競争優位性について考察していくことにします。今回は、財務分析を用いてエヌビディアの強さがどこにあるのかを探っていきます。続く次回では、競争優位論のフレームワークを用いながら考察を深めていきたいと思います。
なお、これらの考察を行ううえでは、かつて「半導体の王者」の名をほしいままにしたインテルとの比較も適宜行っていきます。インテルは、2024年12月期通期決算において116.8億ドル(約1.8兆円)もの営業赤字を計上。かつてあれほど勢いのあった同社に何が起きているのでしょうか。この点についても、考察を進めながら明らかにしていくことにしましょう。
成長するエヌビディア、売上を落とすインテル
まずは、エヌビディアの過去6年間の売上高、営業利益、営業利益率を見ていきましょう(図表4)。