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就職活動におけるAIの影響
現在の雇用市場は逼迫している。それは最近の人員削減や採用の停滞だけが原因ではない。AIと自動化があらゆるレベルで採用の状況を変化させており、新たな機会を求める人は、自身の就職活動戦略におけるAIの影響をもはや無視できなくなっている。
企業が採用においてAIをどのように活用しているかを理解することは、次の仕事を得るために極めて重要である。本稿では、履歴書の作成から面接に至るまで、AI主導の採用プロセスに備えるための5つの方法を紹介する。
応募書類、履歴書、カバーレター
これほど競争の激しい市場では、採用担当者がすべての応募書類に目を通す時間はない。自分の履歴書が候補者の中で目立つ存在となるよう、以下のヒントを参考にしてほしい。
自身のナラティブを変える
履歴書を更新する際には、採用担当者や人事担当者に対して、AIに代替されにくい独自の能力を示す強いナラティブを構築することが重要である。まずは、現在の業務内容を整理することから始めよう。そのうえで、どの業務が近い将来、AIや自動化によって代替される可能性があるか、または自分の職務全体が陳腐化する可能性があるかを見極める。
たとえば、一部の大手銀行は、ジュニア投資アナリストの業務の多くを自動化によって置き換える意向を示している。そのため、現在投資アナリストとして働く人は、金融業界内で新たな役割に転換する必要があるかもしれない。
その際には、テクノロジーが習得するのが困難なスキル(人間ならではの対応が求められる業務、たとえば関係構築、意思決定、個別対応、影響力の行使、ステークホルダーとの調整といった業務)を磨くことが求められる。自動化できない自分のスキルを明確に把握することによって、それらの能力がどのように新しいテクノロジーを補完し、さらには強化できるのかを明確に伝えられるようになる。
AIと自動化が発展する中で、自身の専門性を新たな分野に適応させる必要が生じるかもしれない。どのような職種や業界に関心があるのかを理解するためには、まず現在の職務において何に興味を持ち、やりがいを感じているかを振り返ることが重要である。先述の投資アナリストであれば、スピード感のある環境、複雑な課題の解決、またはデータに基づく意思決定による影響力などに魅力を感じている可能性がある。自分を突き動かす要因を理解することで、自身の関心と一致する新たなキャリアパスを見出す助けとなる。
たとえば、サイバーセキュリティ、AI倫理、AIトレーニングなど、AI関連分野における機会を探るとよいだろう。また、米国労働省労働統計局の「オキュペーショナル・アウトルック・ハンドブック」のようなリソースを活用し、可能性のある職種を調査することも有効である。適切な職種を見つけたら、その分野における自身の移転可能なスキルと価値を際立たせる説得力のあるナラティブを構築することができる。
AIによる履歴書スクリーニングの仕組みを理解する
AIが採用担当者を完全に置き換えるとまでは予想されていないものの、多くの企業が、候補者のスキルを審査するためにAIを搭載した応募者追跡システム(ATS)に依存している。たとえば、ワークデイ、オラクルHCM、グリーンハウスといったシステムは、社内外の人材ソースから適格な候補者を抽出し、その後、最適な適合度に基づいて候補者を評価・ランクづけする。このような背景から、何百通もの履歴書やカバーレターを送っても、まるで闇に向かって投げているかのように感じられることがある。